生徒共通テストの漢文って、何から手をつければいいの?古文と現代文もあるのに、残り2か月で間に合うのかな…。
塾講師として受験生を見ていると、この時期によく聞く悩みです。漢文は覚える量が比較的少ないのに、後回しにされやすい分野です。
結論
共通テストの漢文は配点が45点で、平均は5割台です。残り2か月は、まず句形と重要語句を固め、そのうえで「返り点と書き下し」の解き方を練習するのが近道です。この設問の正答率は2割に届きません。時間は15〜18分を目安にします。
この記事でわかること
- 2年分の本試験から見た、配点と設問別の正答率
- 最初に覚える句形と重要語句
- 正答率2割未満の「返り点と書き下し」の解き方(例題つき)
- 時間配分の目安と、本番までの2か月の計画
先に、この記事で使う言葉を確認しておきます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 白文 | 返り点も送り仮名もない、漢字だけの文 |
| 返り点 | 読む順番を示す記号(レ点、一・二点など) |
| 書き下し | 漢文を日本語の語順に直した文 |
| 句形 | 決まった読み方と意味を持つ表現の型 |
共通テスト漢文は45点、平均点は5割台
漢文は国語200点のうち45点を占めます。2年分の本試験の平均は、45点満点で23〜25点ほどでした。
| 年度 | 漢文の平均 | 得点率 | 国語の平均 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 24.5点 | 54.5% | 126.67点 |
| 令和8年度 | 23.4点 | 52.1% | 116.37点 |
国語は90分で、近代以降の文章(現代文)が3問110点、古文が45点、漢文が45点です。令和7・8年度とも、漢文は最後の第5問でした。本番は2027年1月16日・17日で、国語は1日目の13時から14時30分までです。
平均が5割台なので、基本を固めるだけでも平均を超える得点を狙えます。
※漢文の平均点と得点率は、公表値を四捨五入したものです。出典は記事の末尾にまとめています。
語句の知識と読解で点が決まる
2年分の設問を種類別に見ると、語の意味など知識で取る問題と、解釈や内容説明など読解で取る問題が中心です。返り点と書き下しの設問だけ、正答率が極端に低くなっています。
| 問われた内容 | 令和7年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 語の意味 | 12点(3語) | 8点(2語) |
| 返り点と書き下し | 6点 | 5点 |
| 解釈 | 6点 | 11点(2問) |
| 内容・理由の説明 | 7点 | 13点(2問) |
| 文章全体の理解 | 8点 | 8点 |
| 「また」の使い分け | 6点(2つ) | なし |


「また」の問題は、「又」「亦」と同じ意味の「また」を現代の文から選ぶものでした。
題材は2年とも日本漢文(日本人が書いた漢文)を含みます。令和7年度は『論語』と江戸時代の学者の文章、令和8年度は江戸時代の学者が漢詩について論じた文章でした。
ただし、来年も同じ題材とは限りません。大学入試センターの問題作成方針には、1つの題材による問題のほか、複数の題材を組み合わせた問題も検討するとあります。
どの題材でも役に立つのは、句形と語句の知識、そして注を手がかりに文脈を追う力です。
最初に覚えるのは句形と重要語句
学習の順番は「句形→重要語句→返り点の解き方」です。覚える範囲を先に決めましょう。
句形:Aランク57個から確認する
文系ラボの句形一覧は、113の句形を頻出度のランク別に並べています。まず最頻出のAランク57個を、1日5個ずつ確認してください。再読文字、否定、疑問、反語、使役、受身、比較などが入っています。
次の句形は、とくに取り違えやすいので注意してください。
| 句形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 不可不〜 | 〜ざるべからず | 〜しなければならない(二重否定) |
| 未嘗不〜 | いまだかつて〜ずんばあらず | 〜しなかったことはない(いつも〜した) |
| 不必〜 | かならずしも〜ず | 必ず〜とは限らない(部分否定) |
| 必不〜 | かならず〜ず | 必ず〜しない(全部否定) |
| 不亦〜乎 | また〜ずや | なんと〜ではないか |
| 何以〜 | なにをもつて〜 | どうして〜か(反語になることもある) |
読んで分かったつもりでも、選択肢になると迷うのが句形です。覚えたら、4択のテストで確認します。
重要語句:読みと意味をセットで覚える
語の意味の設問は、令和7年度が12点、令和8年度が8点ありました。まず次の12語を覚え、句形一覧の「重要語」の項目へ進んでください。
| 語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 蓋 | けだし | 思うに、おそらく |
| 遂 | つひに(ついに) | そのまま、結局 |
| 尽 | ことごとく | すべて |
| 女・汝・爾 | なんぢ(なんじ) | おまえ、あなた |
| 是以 | ここをもつて(もって) | こういうわけで |
| 所以 | ゆゑん(ゆえん) | 理由、手段 |
| 於是 | ここにおいて | そこで |
| 須臾 | しゅゆ | 少しの間 |
| 人間 | じんかん | 世の中 |
| 故人 | こじん | 古くからの友人 |
| 夫子 | ふうし | 先生 |
| 百姓 | ひゃくせい | 人々、人民 |
「人間」や「故人」のように、今の日本語と意味が違う語には、とくに注意が必要です。令和7年度に出題された「女」のように、見慣れた字を別の意味で使う語もあります。
差がつくのは「返り点と書き下し」
返り点と書き下しの組み合わせを選ぶ問題の配点は5〜6点です。正答率は令和7年度が14.76%、令和8年度が17.48%でした。得点できれば大きな強みになります。
大学入試センターの報告書も、この形式を受験者が苦手としている様子を指摘しています。多くの生徒がつまずくのは、選択肢の書き下しを順に読み比べて、どれも正しそうに見えてしまうことです。
返り点の基本も確認しておきましょう。レ点は、すぐ下の字から1字上に返って読みます。一・二点は、「一」の字まで読んでから「二」の字に返ります。不安な人は、次の記事の練習問題から始めてください。
この問題は、次の順番で選択肢を減らすと迷いにくくなります。
- 句形を探す:傍線部の中の「不」「未」「可」「何」「以」などに印をつける
- 読みで切る:句形の読み方と合わない選択肢を消す
- 文脈で確かめる:残った書き下しを現代語にして、前後の内容とつながるかを見る
全部を読み比べるのではなく、まず句形で選択肢を減らすのが要点です。時間の節約にもなります。
例題:句形から選択肢を絞る
次の白文の、返り点と書き下しの組み合わせとして正しいものを選んでください(文系ラボのオリジナル問題です)。
白文:子不可不学。
ア 子不レ可レ不レ学。 子は学ばざるべからず。
イ 子不レ可、不レ学。 子は可ならず、学ばず。
ウ 子不可、不レ学。 子は不可なり、学ばず。
答え:ア
- 句形を探す:「不可不」が見つかる
- 読みで切る:「不可不〜」は「〜ざるべからず」と読むので、イとウが消える
- 文脈で確かめる:「あなたは学ばなければならない」と意味が通る
本番の選択肢はもっと紛らわしく作られています。それでも、句形から選択肢を減らし、最後に文脈で確かめる手順は同じです。
時間配分は15〜18分を目安に
漢文の時間は15〜18分を目安にします。国語は90分で5問あるので、1問あたりの平均は18分です。
| 分野 | 配点 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 近代以降の文章(3問) | 110点 | 50〜52分 |
| 古文 | 45点 | 18〜20分 |
| 漢文 | 45点 | 15〜18分 |
上の表は1つの目安で、公式の配分ではありません。公表資料に解く順番の指定はないので、迷ったら第1問から順に解き、漢文に最低15分を残してください。過去問で時間を計り、自分に合う順番を決めましょう。
本文を読むときは、次の順番で進めます。
- リード文と注を読む:リード文(本文の前の説明)で人物と場面をつかむ
- 設問に目を通す:何を探しながら読むかを決める
- 本文を読む:句形に印をつけ、1文ずつ主語を確かめる
- 語句→解釈→全体の順に解く:後ろの問題ほど、全体の理解が必要になる
漢文は主語が省略されやすいので、注の人物名に印をつけ、「曰」の前の人物を話し手として追います。令和8年度は、日本漢文になじみのない受験者のために丁寧な注がつけられました。注を読み飛ばさないでください。
本番までの2か月の計画
11月に知識を固め、12月に過去問で解き方を整え、1月は間違えた問題の見直しに絞ります。


| 時期 | やること | 1日の目安 |
|---|---|---|
| 11月 | 句形Aランクを1日5個と重要語句を覚え、句形テストで確認する | 15分 |
| 12月 | Bランクの句形へ広げ、返り点の問題を練習する。過去問を時間を計って解く | 20分 |
| 1月〜本番 | 間違えた句形と語句だけを見直す。新しい問題集は増やさない | 10分 |
国語全体に1日60分使えるなら、現代文25分、古文20分、漢文15分を目安にしてください。
過去問は、今の形式で実施された令和8年度、令和7年度の順に解きます。問題と正解は大学入試センターのサイトで公開されています。解説がほしい人は、市販の過去問題集を使ってください。2題を解き終えたら、問題集の予想問題で演習を続けます。
解いたあとは、点数を見るだけで終わらせないでください。間違えた問題を「句形」「語句」「文脈」のどれで落としたかに分けると、次にやることが決まります。
無料の一覧とテストだけでも進められます。動画で説明を聞きたい人や、紙で覚えたい人には次の1冊もあります。
国語全体の目標点から逆算したい人は、次のツールを使ってください。模試の点数を入れると、科目ごとの目標点と今日やることが分かります。
よくある質問
まとめ:まず句形と語句、次に返り点の解き方
漢文の配点は45点で、平均は5割台です。句形と語句を固めれば、残り2か月でも得点を伸ばす余地があります。
- 句形はAランクから確認し、4択テストで定着させる
- 重要語句は読みと意味をセットで覚える
- 返り点と書き下しは、句形で選択肢を減らす
- 時間は15〜18分を目安に、過去問で調整する
- 1月は間違えた問題の見直しに絞る
今日は、句形一覧のAランクを5個読んでから、漢文句形テストで確認してみましょう。
古文と現代文の優先順位は、次の記事で解説しています。
出典
大学入試センターの公表資料を2026年11月5日に確認しました。
・令和9年度試験(実施要項・出題方法等・問題作成方針)
・令和7年度 試験情報データ/令和8年度 試験情報データ
・令和7・8年度の本試験の問題、正解、問題評価・分析委員会報告書
日程や形式は変わることがあります。受験の前に大学入試センターの最新の発表を確認してください。






















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