古文の多義語を、一問一答96問でまとめました。答えはタップすると開きます。○△×で自己採点でき、できなかった問題だけをもう一度解き直せます。
多義語とは、1語が複数の意味を持つ語のことです。「みる」に「結婚する」、「しる」に「治める」という意味があると知らなければ、文の意味を取り違えます。
前回扱った古今異義語が「現代語とのズレ」なら、多義語は「1語の中の幅」です。対処法も違います。意味を選ぶ判断が必要になります。

主な勉強場所はどこ?
意味の幅が大きい8語【まずここから】

入試で最も問われる多義語です。どの意味かを文脈で選ぶ必要があります。
| 語 | 意味 | 判断の手がかり |
|---|---|---|
| みる | 見る/世話をする/結婚する | 目的語が人か物か |
| しる | 知る/治める/所有する | 目的語が国や土地か |
| きこゆ | 聞こえる/評判になる/申し上げる | 謙譲語かどうか |
| つく | 付着する/従う/到着する | 主語と場面 |
| うつろふ | 色あせる/移り変わる/心変わりする | 主語が花か心か |
| あく | 満足する/飽きる | 打消を伴うか |
| わたる | 渡る/一面に〜する | 本動詞か補助動詞か |
| ものす | いる/行く/する など | 文脈で具体化する |
「みる」の「結婚する」は特に頻出です。「妻をみる」は「妻を見る」ではなく「妻とする」という意味になります。
活用で意味が変わる語【要注意】

同じ語でも、活用の種類が違えば意味が逆になるものがあります。
| 語 | 四段活用 | 下二段活用 |
|---|---|---|
| たのむ | あてにする | あてにさせる |
| かづく | 褒美をいただく | 褒美を与える |
| たまふ | 尊敬(お〜になる) | 謙譲(〜ております) |
「たのむ」は方向が正反対です。四段なら自分があてにする、下二段なら相手にあてにさせる。主語が誰かで判断してください。
この構造は、用言の活用と助動詞の知識が土台になります。活用の種類が見分けられないと、意味も決まりません。
多義語 一問一答【Sランク・32問】
- 1「ありく」の意味を2つ挙げよ
- 2「あく」の意味を2つ挙げよ飽かず=満足しない
- 3「あくがる」の意味を2つ挙げよ
- 4「いたし」の意味を2つ挙げよ
- 5「うつろふ」の意味を3つ挙げよ色・時・心が移る
- 6「おこす」の意味は?
- 7「おとなし」の意味を2つ挙げよ
- 8「かづく」の意味を2つ挙げよ四段と下二段で逆
- 9「きこゆ」の意味を3つ挙げよ謙譲語にもなる
- 10「くちをし」の意味を2つ挙げよ
- 11「さらなり」の意味は?
- 12「しる」の意味を3つ挙げよ国をしる=治める
- 13「すごし」の意味を2つ挙げよ
- 14「たのむ」の意味を2つ挙げよ活用で意味が変わる
- 15「つく」の意味を3つ挙げよ
- 16「とく」の意味を2つ挙げよ
- 17「なさけ」の意味を2つ挙げよ
- 18「にはかなり」の意味は?
- 19「ぬし」の意味を2つ挙げよ
- 20「ねんごろなり」の意味を2つ挙げよ
- 21「はかばかし」の意味を2つ挙げよ
- 22「ふる」の意味を2つ挙げよ
- 23「まかる」の意味を2つ挙げよ
- 24「みる」の意味を3つ挙げよ結婚するの意味に注意
- 25「ものす」の意味は?
- 26「やる」の意味を2つ挙げよ
- 27「ゆく」の意味を2つ挙げよ
- 28「よる」の意味を2つ挙げよ
- 29「わたる」の意味を2つ挙げよ補助動詞にもなる
- 30「をさむ」の意味を2つ挙げよ
- 31多義語を訳すときに最も重要なことは?文脈がすべて
- 32多義語の意味を絞る手がかりは?
数日あけてから、もう一度この一覧に戻ってきてください。

多義語 一問一答【Aランク・32問】
- 1「みる」が「結婚する」となる例を挙げよ
- 2「みる」が「世話をする」となる例を挙げよ
- 3「しる」が「治める」となる例を挙げよ
- 4「きこゆ」が「申し上げる」となるのはどんなときか?
- 5「きこゆ」が補助動詞のときの意味は?
- 6「かづく」の四段と下二段の違いは?
- 7「たのむ」の四段と下二段の違いは?
- 8「あく」が「満足する」となる例を挙げよ
- 9「飽かず」の意味は?
- 10「あくがる」の語源は?
- 11「あくがる」が「心が離れる」となる例を挙げよ
- 12「うつろふ」が「心変わりする」となる対象は?
- 13「いたし」が「見事だ」となる例を挙げよ
- 14「いたく〜ず」の意味は?
- 15「おとなし」が現代語と違う点は?
- 16「なさけなし」の意味は?
- 17「なさけ」が「風流心」となる背景は?
- 18「ねんごろなり」が「親しい」となる例を挙げよ
- 19「わたる」が補助動詞のときの意味は?
- 20「降りわたる」の意味は?
- 21「ふる」が「年月が経つ」となる例を挙げよ
- 22「ふる」に掛詞として使われる語を挙げよ
- 23「ゆく」が「時が過ぎる」となる例を挙げよ
- 24「つく」が「従う」となる例を挙げよ
- 25「よる」が「従う」となる例を挙げよ
- 26「やる」が補助動詞のときの意味は?
- 27「思ひやる」の意味を2つ挙げよ
- 28「ものす」が便利に使われる理由は?
- 29「さらなり」を含む有名な一節は?
- 30「いふもさらなり」の意味は?
- 31「をさをさ」と「をさむ」は関係があるか?
- 32多義語の設問で選択肢を絞る手順は?
数日あけてから、もう一度この一覧に戻ってきてください。
多義語 一問一答【Bランク・32問】
- 1「あそぶ」の意味を2つ挙げよ
- 2「いふ」が「求婚する」となる例を挙げよ
- 3「おぼす」と「おもほす」の関係は?
- 4「かかる」の意味を2つ挙げよ
- 5「かたち」の意味は?
- 6「けしき」の意味を2つ挙げよ
- 7「ここら」「そこら」の意味は?
- 8「ことわり」の意味は?
- 9「さぶらふ」の意味を2つ挙げよ
- 10「しのぶ」の意味を2つ挙げよ
- 11「すく」の意味を2つ挙げよ
- 12「たまふ」の四段と下二段の違いは?
- 13「つれなし」の意味を2つ挙げよ
- 14「ととのふ」の意味を2つ挙げよ
- 15「なる」の意味を3つ挙げよ
- 16「にほひ」の意味を2つ挙げよ
- 17「はな」の意味を2つ挙げよ
- 18「ひがごと」の意味は?
- 19「ふみ」の意味を3つ挙げよ
- 20「まうく」の意味を2つ挙げよ
- 21「みそかなり」の意味は?
- 22「むつかし」の意味を2つ挙げよ
- 23「めづ」の意味は?
- 24「やうやう」の意味は?
- 25「ゆめ」の意味を2つ挙げよ
- 26「よ」の意味を3つ挙げよ
- 27「よに」の意味を2つ挙げよ
- 28「らうらうじ」の意味は?
- 29「わざと」の意味を2つ挙げよ
- 30「ゐる」の意味を2つ挙げよ
- 31「ゐる」と「率る」の違いは?
- 32多義語が生まれる理由は?
数日あけてから、もう一度この一覧に戻ってきてください。

意味の選び方【手順で解く】

多義語は、意味を全部覚えても選べなければ意味がありません。手順を決めておきます。
| 順 | 確認すること | 分かること |
|---|---|---|
| 1 | 主語は誰か | 人の動作か、物の変化か |
| 2 | 目的語は何か | 人か、物か、土地か |
| 3 | 活用の種類 | 四段か下二段か |
| 4 | 場面・文脈 | ここまでで決まらない場合 |
目的語を見るだけで決まる語が多いものです。「国をしる」なら治める、「事情をしる」なら知る、と判断できます。
目的語で決まる例
| 語 | 目的語 | 意味 |
|---|---|---|
| みる | 景色・物 | 見る |
| 妻・女 | 結婚する | |
| しる | 事情・事実 | 知る |
| 国・土地 | 治める | |
| つく | 場所 | 到着する |
| 人 | 従う |
主語で決まる例
| 語 | 主語 | 意味 |
|---|---|---|
| うつろふ | 花・葉 | 色あせる |
| 季節・時 | 移り変わる | |
| 人の心 | 心変わりする |
「花うつろふ」は色あせる、「心うつろふ」は心変わりです。主語を確認すれば迷いません。
多義語のポイント
「みる」の3つの意味
| 意味 | 例 | 訳 |
|---|---|---|
| 見る | 月をみる | 月を見る |
| 世話をする | 子をみる | 子の面倒をみる |
| 結婚する | 妻をみる | 妻とする |
「結婚する」の意味が最頻出です。当時は「見る」ことが男女の関係の始まりを意味しました。「みそめる」という語にも、この感覚が残っています。
「きこゆ」の3つの意味
| 意味 | 性質 | 例 |
|---|---|---|
| 聞こえる | 自動詞 | 音きこゆ |
| 評判になる | 自動詞 | 世にきこゆ |
| 申し上げる | 謙譲語 | 帝にきこゆ |
さらに補助動詞として「〜申し上げる」の意味でも使われます。「見えきこゆ」なら「お見せ申し上げる」です。
「あく」と「飽かず」
「あく」は満足するという意味です。現代語の「飽きる」とは方向が違います。
| 形 | 意味 |
|---|---|
| あく | 満足する |
| 飽かず | 満足しない・もの足りない |
「飽かず」は「飽きない」ではありません。「まだ満足できない」という意味です。和歌によく出ます。
「わたる」の補助動詞用法
| 用法 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 本動詞 | 渡る | 川をわたる |
| 補助動詞 | 一面に〜する | 降りわたる |
| 補助動詞 | ずっと〜する | 思ひわたる |
動詞の下についていれば補助動詞です。空間的な広がりか、時間的な継続を表します。
「ものす」の便利さ
「ものす」はあらゆる動作の代用になります。
| 文脈 | 意味 |
|---|---|
| その場にいる話 | いる |
| 移動の話 | 行く・来る |
| 行為の話 | する |
具体的な動詞を避けて婉曲に言うために使われました。訳すときは文脈から具体化してください。
掛詞になりやすい多義語

多義語は和歌の掛詞としても使われます。
| 音 | 掛けられる語 |
|---|---|
| ふる | 経る・降る・古る |
| まつ | 松・待つ |
| あき | 秋・飽き |
| ながめ | 眺め・長雨 |
1語に複数の意味があることが、和歌の技法を支えています。この点は次回の記事で詳しく扱います。

間違えやすいところ
| 語 | 誤った訳 | 正しい訳 |
|---|---|---|
| みる(妻を) | 妻を見る | 妻とする |
| しる(国を) | 国を知る | 国を治める |
| 飽かず | 飽きない | 満足しない |
| たのむ(下二段) | あてにする | あてにさせる |
| かづく(下二段) | いただく | 与える |
| おとなし | 静かだ | 大人びている |
| なさけ | 同情 | 思いやり・風流心 |
| ゆめ(禁止の文で) | 夢 | 決して |
「たのむ」「かづく」は活用で意味が逆転します。四段か下二段かを必ず確認してください。
覚え方のコツ
代表的な意味から広げる
多義語は中心となる意味があり、そこから派生しています。
| 語 | 中心の意味 | 派生 |
|---|---|---|
| しる | 自分のものとして把握する | 知る・治める・所有する |
| つく | くっつく | 付着・従う・到着 |
| うつろふ | 移る | 色あせる・移り変わる・心変わり |
個別に暗記するより、つながりで覚えるほうが定着します。
主語と目的語を確認する癖をつける
| 見るもの | 決まること |
|---|---|
| 主語 | 人の動作か物の変化か |
| 目的語 | 人・物・土地のどれか |
| 活用 | 四段か下二段か |
古今異義語との違いを意識する
| 古今異義語 | 多義語 | |
|---|---|---|
| 問題 | 現代語とのズレ | 1語の中の幅 |
| 対処 | 正しい意味を覚える | 文脈で意味を選ぶ |
古今異義語は「知識」、多義語は「判断」です。どちらも必要ですが、鍛え方が違います。
腕試し:ランダム10問
ここまでの内容が身についたか確認してください。順番をシャッフルし、1問ずつ表示します。スワイプでも進められます。
- 1「いたし」が「見事だ」となる例を挙げよ
- 2「なさけなし」の意味は?
- 3「やる」の意味を2つ挙げよ
- 4「ゆく」が「時が過ぎる」となる例を挙げよ
- 5「にはかなり」の意味は?
- 6「あくがる」が「心が離れる」となる例を挙げよ
- 7「いたく〜ず」の意味は?
- 8「ねんごろなり」の意味を2つ挙げよ
- 9「ありく」の意味を2つ挙げよ
- 10多義語を訳すときに最も重要なことは?
数日あけてから、もう一度この一覧に戻ってきてください。
×が3問以上あった場合は、「意味の幅が大きい8語」に戻ってください。この8語が最頻出です。
よくある質問
多義語と古今異義語はどう違うのですか
| 古今異義語 | 多義語 | |
|---|---|---|
| 問題 | 現代語と意味が違う | 1語に複数の意味がある |
| 例 | うつくし=かわいらしい | みる=見る・世話・結婚 |
| 対処 | 正しい意味を覚える | 文脈で意味を選ぶ |
古今異義語は「知識」、多義語は「判断」です。多義語は意味を全部覚えても、選べなければ解けません。
意味の選び方が分かりません
主語と目的語を確認してください。
| 例 | 目的語 | 意味 |
|---|---|---|
| 月をみる | 物 | 見る |
| 妻をみる | 人(女性) | 結婚する |
| 国をしる | 土地 | 治める |
目的語だけで決まる語が多いものです。まずここを見てください。
「みる」がなぜ「結婚する」になるのですか
当時は「見る」ことが男女の関係の始まりを意味したためです。
女性は御簾の内にいて、顔を見られることが特別な意味を持ちました。そこから「妻とする」という意味に広がります。
現代語の「みそめる」にも、この感覚が残っています。
「飽かず」は「飽きない」ではないのですか
「満足しない」という意味です。
「あく」がもともと「満足する」を表すため、その打消は「もの足りない」となります。
和歌で「飽かず別れぬ」とあれば、「名残惜しく別れた」という意味です。「飽きずに」ではありません。
「たのむ」の四段と下二段はどう違うのですか
| 活用 | 意味 | 主語 |
|---|---|---|
| 四段 | あてにする | 頼る側 |
| 下二段 | あてにさせる | 頼られる側 |
方向が正反対です。「かづく」も同様で、四段は「いただく」、下二段は「与える」になります。
活用の種類を見分けるには、用言の活用の知識が必要です。
「ものす」はどう訳せばいいですか
文脈から具体化してください。
| 文脈 | 訳 |
|---|---|
| その場にいる話 | いる |
| 移動の話 | 行く・来る |
| 行為の話 | する |
具体的な動詞を避けて婉曲に言うために使われた語です。訳語は文脈が決めます。
どこまで覚えればいいですか
| 目標 | 必要な範囲 |
|---|---|
| 共通テスト | Sランク32問 |
| 私大・国公立二次 | S+Aランク64問 |
| 難関大 | 全96問 |
「みる」「しる」「きこゆ」の3語は必ず出ます。意味と判断の手がかりをセットで覚えてください。
次は何を勉強すべきですか
次は和歌の修辞法です。枕詞・序詞・掛詞・縁語などを扱います。
この記事で見たとおり、多義語は掛詞の土台です。「ふる」に「経る・降る・古る」の意味があるからこそ、掛詞が成立します。
単語の全体像をつかみたい場合は、古文単語一覧190選もあわせて確認してください。




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