総合型選抜と学校推薦型選抜は、いまや大学入学者の半数以上を占める入試方式です。しかし一般選抜と違い、対策の全体像が見えにくいという声をよく聞きます。
この記事では2つの方式の違い・評価される4つの要素・出願までの流れを整理しました。
今から何を準備すればよいかが分かるよう、時期別のやることリストも載せています。
主な勉強場所はどこ?
総合型選抜と学校推薦型選抜の違い

まず混同しやすい2つの方式を整理します。
| 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | |
|---|---|---|
| 旧称 | AO入試 | 推薦入試 |
| 学校長の推薦 | 不要 | 必要 |
| 出願時期 | 9月以降 | 11月以降 |
| 評定平均の基準 | 設けない大学も多い | 設ける大学が多い |
| 専願・併願 | 大学による | 専願が多い |
| 重視される点 | 意欲・活動実績・適性 | 学業成績・学校生活 |
最大の違いは学校長の推薦が要るかどうかです。
学校推薦型選抜の2種類
| 種類 | 推薦の主体 | 特徴 |
|---|---|---|
| 指定校制 | 大学が指定した高校 | 合格率が高い・専願 |
| 公募制 | 条件を満たせばどの高校でも | 倍率が高い場合がある |
どちらを選ぶべきか
| 状況 | 向いている方式 |
|---|---|
| 評定平均が高い | 学校推薦型(指定校・公募) |
| 課外活動の実績がある | 総合型 |
| 学びたいことが明確 | 総合型 |
| 第一志望が決まっている | どちらも可(専願条件に注意) |
| 複数校を受けたい | 総合型(併願可の大学を選ぶ) |
評価される4つの要素

どちらの方式でも、次の4つが見られます。
| 要素 | 何で見るか | 準備にかかる期間 |
|---|---|---|
| 学力 | 評定平均・共通テスト・小論文 | 長期(1年以上) |
| 志望の明確さ | 志望理由書・面接 | 中期(3か月) |
| 活動実績 | 活動報告書・調査書 | 長期(1年以上) |
| 表現力 | 小論文・プレゼン・面接 | 短期(1〜2か月) |
準備期間が長いものから手をつけてください。学力と活動実績は直前では間に合いません。
評定平均の計算方法
全科目の5段階評定を平均した数値です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 高1から高3の1学期まで |
| 科目 | 全科目(実技科目も含む) |
| 計算 | 全科目の評定を合計し、科目数で割る |
| 表記 | 小数第2位を四捨五入 |
実技科目も含まれる点に注意してください。体育や芸術の評定も同じ重みを持ちます。
「4.0以上」といった基準が設けられている場合、1つでも下回ると出願できません。募集要項で必ず確認してください。
活動実績として書けるもの
| 分類 | 例 |
|---|---|
| 学校内 | 生徒会・委員会・部活動 |
| 学校外 | ボランティア・地域活動・インターン |
| 学習 | 探究活動・研究発表・コンクール |
| 資格 | 英検・漢検・簿記・情報系 |
| その他 | 留学・課外講座・自主的な取り組み |
全国大会の実績は必要ありません。重要なのは何をどれだけ続けたかと、そこから何を学んだかです。
1年以上続けた活動が1つあれば、十分に書けます。
なぜこの方式が増えているのか

総合型選抜と学校推薦型選抜による入学者は、年々増加しています。背景には大学側と受験生側、双方の事情があります。
| 立場 | 理由 |
|---|---|
| 大学側 | 学力以外の適性を見たい・早期に学生を確保したい |
| 受験生側 | 年内に進路を決めたい・得意分野で勝負したい |
大学が求めているのは「入学後に伸びる学生」です。試験の点数だけでは分からない意欲や適性を、書類と面接で判断しようとしています。
だからこそ「なぜこの大学なのか」が一貫して問われます。学力だけなら一般選抜で測れるためです。
一般選抜との違い
| 一般選抜 | 総合型・学校推薦型 | |
|---|---|---|
| 判断材料 | 試験の得点 | 書類・面接・小論文など複数 |
| 準備の性質 | 教科の学習 | 自己分析と大学研究 |
| 結果が出る時期 | 2〜3月 | 10〜12月 |
| やり直し | — | 不合格なら一般選抜へ |
準備の性質がまったく違います。教科の勉強とは別に、自分と大学を調べる時間が必要になります。
この作業は短期間では終わりません。そのため早く始めた人ほど有利になります。
準備の全体像

やることが多く見えますが、3つの作業に整理できます。
| 作業 | 内容 | 成果物 |
|---|---|---|
| 自分を知る | 経験・関心を書き出す | 材料のリスト |
| 大学を知る | 教員・科目・制度を調べる | 調べたことのメモ |
| つなぐ | 経験と大学を結びつける | 志望理由書 |
3番目は、1と2が終わらないとできません。いきなり志望理由書を書こうとして手が止まるのは、材料が足りないからです。
| 順 | 問い |
|---|---|
| 1 | 自分はどんな経験をしてきたか |
| 2 | その経験は、どの学問の問題か |
| 3 | その分野を扱う教員・科目はどこにあるか |
| 4 | そこで学ぶと、何ができるようになるか |
この4つに答えられれば、志望理由書は書けます。
出願までの流れと時期

総合型選抜を例に、標準的な流れを示します。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高2の冬〜高3の春 | 志望校を絞る・募集要項を確認 |
| 高3の4〜6月 | オープンキャンパス・情報収集 |
| 高3の6〜8月 | 志望理由書の作成・小論文対策 |
| 高3の9月 | 出願(総合型) |
| 高3の10〜11月 | 選考・面接 |
| 高3の11月 | 出願(学校推薦型) |
| 高3の12月 | 合格発表 |
志望理由書の作成に2〜3か月かかると考えてください。書き直しを重ねる必要があるためです。
時期別のやることリスト
高2の冬まで
| やること | |
|---|---|
| 1 | 評定平均を確認する |
| 2 | 興味のある分野を3つ程度に絞る |
| 3 | 活動を1つ決めて続ける |
評定平均の確認が最優先です。目標とする大学の基準を満たせるか、この時点で見当をつけてください。
高3の4〜6月
| やること | |
|---|---|
| 1 | 募集要項を入手し、出願条件を確認 |
| 2 | オープンキャンパスに参加 |
| 3 | 学部サイトで教員・カリキュラムを調べる |
| 4 | 過去の小論文課題を確認 |
オープンキャンパスでは質問をしてください。見学するだけでは志望理由書に書ける材料が増えません。
| 聞くとよいこと |
|---|
| 興味のある分野を学べる科目はどれか |
| ゼミはいつから始まるか・どう決まるか |
| 実習や地域連携の具体的な内容 |
| 卒業生の進路 |
高3の6〜8月
| やること | |
|---|---|
| 1 | 志望理由書の下書きを書く |
| 2 | 先生に見てもらい、書き直す |
| 3 | 小論文を週1本のペースで書く |
| 4 | 活動報告書をまとめる |
この時期が最も重要です。夏休みをどう使うかで結果が変わります。
高3の9月以降
| やること | |
|---|---|
| 1 | 出願書類を提出 |
| 2 | 提出した書類のコピーを読み返す |
| 3 | 面接の練習をする |
| 4 | 一般選抜の勉強も並行して続ける |
4番目を忘れないでください。不合格だった場合、一般選抜に切り替える必要があります。
選考ごとの対策
志望理由書
面接の土台になる書類です。ここで方向が決まります。
| 部 | 内容 | 字数の目安(800字) |
|---|---|---|
| 結論 | 何を学びたいか | 80〜120字 |
| きっかけ | そう考えた経験 | 200〜250字 |
| 大学の理由 | なぜこの大学か | 250〜300字 |
| 将来像 | 学んだあと何をするか | 150〜200字 |
最も評価されるのは「大学の理由」です。教員名・科目名・制度名のいずれかを入れてください。
詳しい書き方と800字の例文は、別の記事にまとめています。


小論文
| 形式 | 問われること |
|---|---|
| テーマ型 | 与えられた題について論じる |
| 課題文型 | 文章を読み、要約と意見を書く |
| データ型 | グラフや表を読み取って論じる |
志望学部によって出る形式が違います。過去問を必ず確認してください。
| 学部系統 | 頻出テーマ |
|---|---|
| 医療・看護 | 少子高齢化・地域医療・終末期医療 |
| 教育 | いじめ・ICT教育・学力格差 |
| 法・政治 | 表現の自由・司法制度・選挙 |
| 経済・経営 | 働き方・格差・地方創生 |
| 理工 | AI・エネルギー・技術と倫理 |
| 国際 | 多文化共生・移民・グローバル化 |
対策は週1本を目安に書いてください。書かずに読むだけでは力がつきません。


面接
志望理由書に書いたことが、そのまま質問になります。
| 書いた内容 | 想定される質問 |
|---|---|
| 教員名を挙げた | その研究のどこに関心があるか |
| 本を読んだ | どんな内容だったか |
| 活動に参加した | 具体的に何をしたか・何が大変だったか |
| 将来像を書いた | なぜその職業か |
ほぼ必ず聞かれる質問
| 質問 | |
|---|---|
| 1 | 志望理由を教えてください |
| 2 | 高校生活で力を入れたことは |
| 3 | 入学後に何を学びたいですか |
| 4 | 将来の希望を教えてください |
| 5 | 最近気になったニュースは |
| 6 | 最後に何か質問はありますか |
5番目に注意してください。志望分野に関連するニュースを、2〜3本用意しておくのが安全です。
答え方の型
| 順 | 話すこと | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 結論を一文で | 10秒 |
| 2 | 理由や具体例 | 30秒 |
| 3 | 締めくくり | 10秒 |
1回の答えは1分以内が目安です。長すぎると要点が伝わりません。
プレゼンテーション
総合型選抜では課される場合があります。
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| 時間 | 指定時間の9割を使う |
| 構成 | 結論を最初に述べる |
| 資料 | 文字を詰め込まない |
| 練習 | 必ず声に出して時間を計る |
原稿を読み上げないでください。要点だけをメモし、自分の言葉で話す練習をしてください。
よくある誤解
誤解1:勉強しなくても受かる
学力は必ず見られます。
| 見られ方 | 形式 |
|---|---|
| 評定平均 | 調査書 |
| 共通テスト | 課す大学が増えている |
| 小論文 | 知識と論理が問われる |
| 基礎学力検査 | 独自の筆記試験 |
近年は共通テストを課す大学が増えています。「学力不問」という方式ではありません。
誤解2:特別な実績が必要
全国大会や留学の実績は必要ありません。
評価されるのは実績の大きさではなく、何を考えて取り組んだかです。
日常的な活動でも、1年以上続けて具体的に語れるなら十分な材料になります。
誤解3:一般選抜の勉強は不要
並行して続けてください。
| 理由 |
|---|
| 不合格の場合、一般選抜に切り替える必要がある |
| 共通テストを課す大学が増えている |
| 小論文には教科の知識が必要 |
総合型選抜に絞って失敗する例が最も避けたい事態です。9月から一般選抜の勉強を始めても間に合いません。
誤解4:早く出願すれば有利
出願時期と合否は関係ありません。
ただし準備の時間は必要です。締切ぎりぎりに書いた志望理由書は、内容が浅くなります。
誤解5:専願なら必ず受かる
専願は出願条件であり、合格の保証ではありません。
公募制の学校推薦型選抜では、専願でも倍率が高くなる場合があります。
指定校推薦は合格率が高い傾向にありますが、校内選考を通る必要があります。
準備でつまずきやすい点

志望校が決まらない
学問分野から探してみてください。
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 興味のあるテーマを3つ書き出す |
| 2 | そのテーマを扱う学問分野を調べる |
| 3 | その分野の教員がいる大学を探す |
大学名から入ると絞れません。何を学びたいかから逆算するほうが早く決まります。
活動実績がない
いまからでも始められます。
| 始めやすい活動 | 期間の目安 |
|---|---|
| 探究活動でテーマを深める | 3〜6か月 |
| 地域のボランティア | 3か月以上 |
| 資格の取得 | 2〜3か月 |
| 関連書籍を読んで記録する | 1か月以上 |
学校の探究活動が最も使いやすい材料です。すでに取り組んでいるものを深めれば、新しく始める必要はありません。
書類の準備が間に合わない
| 書類 | 準備にかかる期間 |
|---|---|
| 志望理由書 | 2〜3か月 |
| 活動報告書 | 2〜3週間 |
| 調査書 | 学校に依頼(2週間程度) |
| 推薦書 | 学校に依頼(3週間程度) |
調査書と推薦書は学校に依頼する書類です。締切の1か月前には依頼してください。
よくある質問
評定平均が基準に届きません
総合型選抜を検討してください。
学校推薦型選抜は評定平均の基準を設ける大学が多い一方、総合型選抜では設けない大学もあります。
ただし基準がなくても調査書は提出します。成績が全く見られないわけではありません。
部活動を引退していません
両立は可能です。
むしろ引退まで続けたこと自体が材料になります。時間が限られる分、夏休みの使い方を計画的に決めてください。
| 時期 | 優先すること |
|---|---|
| 部活動中 | 大学を調べる・材料を集める |
| 引退後 | 志望理由書を書き上げる |
複数の大学を受けられますか
| 方式 | 併願 |
|---|---|
| 総合型選抜 | 大学による(可の場合が多い) |
| 公募制推薦 | 大学による |
| 指定校推薦 | 不可(専願) |
募集要項で必ず確認してください。専願と明記されている場合、合格したら入学する義務が生じます。
不合格だったらどうなりますか
一般選抜を受けられます。
ただし総合型選抜の結果が出るのは10〜12月です。そこから受験勉強を始めても間に合わないため、並行して続けておく必要があります。
塾に通うべきですか
必須ではありません。
志望理由書は学校の先生に見てもらえます。小論文も添削してもらえる場合が多いでしょう。
ただし面接練習は複数の人に見てもらうほうが効果的です。学校の先生・保護者など、できるだけ違う立場の人に頼んでください。
共通テストは必要ですか
大学によって異なります。
| パターン | 対応 |
|---|---|
| 課さない | 書類と面接のみ |
| 課す | 一定の得点が必要 |
| 参考程度 | 点数は見るが基準はない |
近年は課す大学が増えています。募集要項で確認し、必要なら対策に組み込んでください。
いつから準備を始めるべきですか
| 要素 | 始める時期 |
|---|---|
| 評定平均 | 高1から |
| 活動実績 | 高2まで |
| 志望校選び | 高2の冬 |
| 志望理由書 | 高3の6月 |
| 面接練習 | 出願後 |
評定平均だけは高1から積み上がります。ここは後から取り戻せません。
次にやること
まず志望校の募集要項を確認してください。出願条件・提出書類・選考方法がすべて書かれています。
そのうえで志望理由書の作成に取りかかってください。型と800字の例文をまとめた記事があります。下書きができたら、失敗20項目のチェックリストで見直すという流れが効率的です。
小論文が課される場合は、週1本のペースで書き始めてください。書き方の型やテンプレートをまとめた記事も用意しています。



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