志望理由書は書き直すほど良くなりますが、どこを直せばよいかが分からないまま提出してしまう人が少なくありません。
この記事では、実際に添削していて繰り返し目にする失敗20パターンを集めました。すべて直す前と直したあとの文を並べています。
自分の下書きと見比べながら読んでください。1つ直すだけでも印象は大きく変わります。
主な勉強場所はどこ?
失敗の3つのパターン

20の失敗は、原因で見ると3つに分かれます。
| 分類 | 原因 | 該当する失敗 |
|---|---|---|
| 調べ不足 | 大学を十分に調べていない | 1〜6 |
| 具体性の不足 | 抽象的な言葉で済ませている | 7〜13 |
| 形式の誤り | 書き方の作法を知らない | 14〜20 |
最も致命的なのは1つ目です。調べ不足は文章力では補えません。
一方、3つ目の形式の誤りは知れば5分で直せるものがほとんどです。まずそこから確認するのが効率的です。
調べ不足による失敗【1〜6】
失敗1:大学名を変えても成立する

最も多い失敗です。
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 貴学は自由な学風であり、幅広い分野を学べる点に魅力を感じた。 | 貴学法学部では二年次からゼミに所属でき、○○教授のもとで労働判例の分析に取り組める。 |
確認方法があります。文中の大学名を別の大学に置き換えてみてください。それでも文章が成立するなら、書き直しが必要です。
直し方は固有名詞を入れることです。教員名・科目名・制度名のいずれかが入れば、その大学の話になります。
失敗2:大学の理念をそのまま写す
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 貴学の「実学を重んじる」という理念に共感した。 | 貴学の法律相談所では学生が実際の相談に立ち会う。条文の知識が現実の紛争でどう使われるかを知りたい。 |
理念は抽象的な言葉です。共感したと書いても、何に共感したのかが伝わりません。
理念が形になっている制度を探して、そちらを書いてください。
失敗3:教員名を挙げるだけで終わる
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| ○○教授のもとで学びたいと考えている。 | ○○教授は非正規雇用の処遇格差を判例から分析している。私が疑問に感じてきた点に正面から取り組む研究だと感じた。 |
名前だけ入れただけでは調べたことになりません。研究内容と、自分の関心とのつながりまで書いてください。
失敗4:学部と内容が合っていない
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| (経済学部の志望理由書で)貧困に苦しむ人を支援したい。 | 貧困が生まれる構造を、所得分配と労働市場の面から分析したい。 |
「支援したい」は福祉学部の動機に近い書き方です。経済学部なら「分析したい」「構造を明らかにしたい」という方向になります。
失敗5:カリキュラムを誤って書く
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 一年次からゼミで専門的に学べる点に魅力を感じた。 | (シラバスを確認し、実際の開講年次に合わせて書き直す) |
事実と違うことを書くと逆効果です。調べていないことがすぐに分かります。
シラバスや履修モデルで科目名と開講年次を確認してから書いてください。
失敗6:退職した教員の名を挙げる
参考書や古い記事を見て書くと起こります。
学部サイトの教員一覧で在籍を確認してください。年度が変わると異動する場合があります。
また、その教員が志望する学部・学科に所属しているかも確認が必要です。同じ大学でも別の学部という場合があります。
具体性の不足による失敗【7〜13】
失敗7:経験が感想で終わっている
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| ボランティアに参加し、人の役に立つ喜びを知った。 | ボランティアで出会った子どもは、質問できる相手が家庭にいなかった。横について説明すると、翌週には自分から質問するようになった。 |
「喜びを知った」という文章自体は誰でも書けます。具体的な場面は本人にしか書けません。
書くときは「誰が」「何をして」「どうなったか」を意識してください。感想はそのあとで構いません。
失敗8:きっかけがニュースを見ただけ
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| ニュースで子どもの貧困について知り、関心を持った。 | ニュースをきっかけに関連書籍を三冊読み、貧困が学力に与える影響について調べた。そこで、学習機会の差が世代を超えて続くことを知った。 |
「知った」だけでは受け身です。そこから何をしたかを書いてください。
| 書ける行動 |
|---|
| 本を読んだ・記事を調べた・人に話を聞いた |
| 統計を調べた・現場を見に行った |
| 探究活動でテーマにした・ボランティアに参加した |
失敗9:「学びたい」で終わる
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 法学部で法律について幅広く学びたい。 | 労働法を中心に、非正規雇用をめぐる判例と立法の経緯を学びたい。 |
分野を狭めるほど本気度が伝わります。「法学」より「労働法」、「看護」より「地域看護」です。
狭めるのが怖い場合もありますが、入学後に変わっても問題ありません。今の時点で何に関心があるかが問われています。
失敗10:将来像が職業名だけ
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 将来は弁護士になりたい。 | 労働問題を専門とする弁護士として、声を上げにくい立場にある人が法律を使って自分を守れるよう支えたい。 |
「何のために」を加えてください。職業名だけでは、志望理由全体とつながりません。
失敗11:数字がない
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 長い間ボランティアを続けてきた。 | 高校二年から二年間、月に二回の学習支援に参加してきた。 |
数字は具体性を一気に高めます。期間・回数・人数など、書けるものは書いてください。
ただし盛らないことです。面接で確認される可能性もあります。
失敗12:抽象的な形容詞に頼る
| 避けたい語 | 置き換え方 |
|---|---|
| 素晴らしい・立派な | 何がどう優れているかを書く |
| 深く・強く | 削っても意味が変わらないことが多い |
| さまざまな・いろいろな | 具体例を2つ挙げる |
| しっかりと・きちんと | 削る |
失敗13:字数が足りない
| 指定 | 目標 | 足りないと |
|---|---|---|
| 800字以内 | 720字以上 | 意欲が低く見える |
| 1000字以内 | 900字以上 | 同上 |
「以内」なら9割以上が目安です。
字数が足りないときは、大学の理由を増やしてください。理由を1つから2つに増やすだけで200字前後は伸びます。
| 増やす | 削る |
|---|---|
| 大学の理由(教員・科目・制度) | きっかけの場面(1つに絞る) |
形式の誤りによる失敗【14〜20】
失敗14:文体が混ざる
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 私は労働法を学びたいと考えている。将来は弁護士になりたいです。 | 私は労働法を学びたいと考えている。将来は労働問題を専門とする弁護士として働きたい。 |
「である」調と「です・ます」調を混ぜてはいけません。どちらかに統一してください。
指定がなければ「である」調が一般的です。字数も節約できます。
失敗15:話し言葉が混ざる
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| すごく・とても | 非常に(または削る) |
| いろんな | さまざまな(または具体例) |
| ちゃんと | 確実に(または削る) |
| 〜みたいな | 〜のような |
| やっぱり | やはり |
| 〜とか | 〜など |
失敗16:一文が長すぎる
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 私は高校二年のときに参加したボランティアで出会った子どもたちが家庭で質問できる相手がいないために学習が遅れている状況を知り、それがきっかけで教育格差に関心を持つようになった。 | 高校二年のとき、学習支援のボランティアに参加した。そこで出会った子どもたちは、家庭に質問できる相手がいなかった。この経験から、教育格差に関心を持つようになった。 |
一文は50字前後が読みやすい目安です。長くても70字までに抑えてください。
読点が3つ以上続いたら、文を分けられないかを考えてください。
失敗17:「思う」を多用する
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 大切だと思う。学びたいと思う。必要だと思う。 | 大切である。学びたい。必要だと考えている。 |
「思う」が続くと自信がなく見えます。断定するか、「考えている」に置き換えてください。
失敗18:段落が分かれていない
800字を1つの段落で書くと、読みにくくなります。
| 構成 | 段落 |
|---|---|
| 結論 | 第1段落 |
| きっかけ | 第2段落 |
| 大学の理由 | 第3段落 |
| 将来像 | 第4段落 |
失敗19:大学の呼び方を間違える
| 場面 | 使う語 |
|---|---|
| 書類(志望理由書・願書) | 貴学 |
| 面接(話し言葉) | 御校・貴学 |
| 短大の場合 | 貴学 |
失敗20:誤字脱字をそのまま提出する
| 間違えやすい語 | 正しい表記 |
|---|---|
| 専門・専問 | 専門 |
| 意議・意義 | 意義 |
| 関心・感心 | 興味の意味なら関心 |
| 追求・追究 | 学問なら追究 |
| 努める・勤める | 努力なら努める |
添削の実例【800字】
実際に複数の失敗が重なった文章を、どう直すか実際に見てみましょう。看護学部志望の例です。
直す前
私は貴学の看護学部を志望します。貴学は「人間性を重んじる」という理念を掲げており、その点にとても共感しました。
私が看護に興味を持ったきっかけは、祖母が入院したときに看護師さんの姿を見て、素晴らしい仕事だと思ったことです。患者さんに優しく接する姿を見て、私もこのような看護師になりたいと強く思いました。それからいろんな本を読んだり、オープンキャンパスに行ったりして、看護についてしっかりと学びたいと思うようになりました。
貴学は設備が充実しており、実習も多く、幅広い分野を学べる点に魅力を感じています。また、先生方も熱心に指導してくださると聞いています。
将来は看護師になりたいです。人の役に立つ仕事がしたいと思っています。貴学で頑張りたいです。
何が問題か
| 箇所 | 該当する失敗 |
|---|---|
| 理念に共感しました | 失敗2(理念をそのまま写す) |
| 素晴らしい仕事だと思った | 失敗7(感想で終わる) |
| いろんな本を読んだり | 失敗12(抽象的)・失敗15(話し言葉) |
| 設備が充実・幅広い分野 | 失敗1(大学名を変えても成立) |
| 看護師になりたいです | 失敗10(職業名だけ)・失敗14(文体が混ざる) |
| 頑張りたいです | 失敗12(抽象的) |
| 全体で約340字 | 失敗13(字数不足) |
直したあと
私は貴学看護学部で地域看護を学び、高齢者が住み慣れた場所で暮らし続けられる医療を支えたいと考えている。
きっかけは、祖母の在宅療養に関わった経験である。祖母は退院後、自宅で訪問看護を受けながら生活していた。週に二度訪れる看護師は、血圧の測定だけでなく、祖母の食事の様子や部屋の環境まで見て助言をしていた。私はそのとき、看護が病気だけを見るものではないと知った。同時に、訪問看護を利用できる時間には限りがあり、祖母が不安な時間を一人で過ごす場面も多いと気づいた。
貴学を志望する理由は二つある。第一に、地域看護学の科目が一年次から設けられていることである。他大学のカリキュラムを比較したところ、地域看護を三年次以降に置く例が多かったが、貴学では早い段階から地域の医療機関と連携した実習が組まれている。早い時期から現場を知ることで、講義の内容を実感を伴って理解できると考えた。第二に、○○先生が取り組まれている高齢者の孤立に関する研究である。医療の枠を超えて生活全体を支える視点は、祖母を見ていて必要だと感じた点と重なる。
将来は訪問看護師として、地域で暮らす高齢者とその家族を支えたい。祖母のように在宅を望む人が安心して過ごせるよう、医療と生活の両面から関わる看護師になりたいと考えている。
どこが変わったか

| 変えた点 | 効果 |
|---|---|
| 「地域看護」と分野を特定 | 関心が具体的になった |
| 訪問看護師の行動を描写 | 体験が実際にあると伝わる |
| 「限りがある」という気づき | 問題意識が生まれた |
| 他大学と比較したと書いた | 調べた深さが伝わる |
| 教員の研究内容に言及 | その大学である理由になった |
| 将来像が動機とつながった | 全体に一貫性が出た |
| 約340字から約610字へ | 字数が適切になった |
直す順序【優先度順】

すべてを一度に直すのは難しいので、順序を決めてください。
| 順 | やること | 該当する失敗 |
|---|---|---|
| 1 | 大学の理由に固有名詞を入れる | 1〜6 |
| 2 | 経験を具体的な場面に書き直す | 7・8・11 |
| 3 | 分野と将来像を狭める | 9・10 |
| 4 | 字数を9割まで増やす | 13 |
| 5 | 文体と表記を整える | 14〜20 |
1番目が最も効果が大きい作業です。ここが直れば、それだけで印象が変わります。
逆に5番目は最後で構いません。内容が固まる前に表現を整えても、書き直しで無駄になります。
よくある質問
どこから直せばいいですか
大学の理由からです。
文中の大学名を別の大学に置き換えてみてください。それでも成立するなら、そこが最優先の修正箇所になります。
教員名・科目名・制度名のいずれかを入れれば、その大学の話になります。
経験が平凡で書けることがありません
経験の大きさは問われていません。
全国大会や留学の実績がなくても構いません。評価されるのはそこから何を考えたかです。
先ほどの添削例も、題材は「祖母の療養」という日常的な出来事でした。それを具体的に書くだけで、十分に伝わる文章になっています。
教員の研究内容が難しくて分かりません
すべて理解する必要はありません。
論文のタイトルと、教員紹介ページの数行を読めば、研究の方向はつかめます。
そのうえで「どこに関心を持ったか」を自分の言葉で書いてください。難しい用語を使う必要はありません。
同じ内容を何度も書いてしまいます
4部構成を意識してください。
| 部 | 書くこと |
|---|---|
| 結論 | 何を学びたいか |
| きっかけ | そう考えた経験 |
| 大学の理由 | なぜこの大学か |
| 将来像 | 学んだあと何をするか |
各段落で役割が違います。同じことを書いていると感じたら、どの部の内容かを確認してください。
先生に見てもらうべきですか
必ず見てもらってください。
自分では気づかない曖昧さがあります。とくに「読んだ人に伝わるか」は、自分では判断できません。
見てもらう前に、この記事の20項目を自分でチェックしておくと、より内容の濃い指摘をもらえます。
何回書き直せばいいですか
| 回 | やること |
|---|---|
| 1回目 | とにかく書き切る |
| 2回目 | 大学の理由を具体化する |
| 3回目 | 経験を場面として書き直す |
| 4回目 | 字数を合わせる |
| 5回目 | 文体と誤字を確認する |
最低3回、できれば5回は書き直してください。1回で完成することはありません。
面接で矛盾しませんか
書いたことは必ず聞かれると考えてください。
| 書いた内容 | 想定される質問 |
|---|---|
| 本を読んだ | どんな内容だったか |
| 教員名を挙げた | その研究のどこに関心があるか |
| 他大学と比較した | どこと比べたか |
読んでいない本や、調べていない研究は書かないことです。誇張は面接で崩れます。
次にやること
20項目を確認したら、直す順序に従って書き直してください。とくに1番目の「大学の理由に固有名詞を入れる」が最優先です。
型や完成例文を確認したい場合は、志望理由書の書き方の記事に800字の例文を4本掲載しています。法学部・看護学部・教育学部・経済学部の4系統なので、自分に近いものを参考にしてください。
また、総合型選抜では小論文が課されることも多くあります。志望理由書とは対策が異なるため、別に時間を取って準備しておいてください。




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