小論文の書き方を、600字と800字の完成した例文で示します。書き出しから結論まで、実際の答案がどう組み立てられているかを確認できます。
小論文は、書き方の型さえ分かれば誰でも形になります。逆に、型を知らずに書くと、感想文になってしまい点になりません。
主な勉強場所はどこ?
小論文の書き方【4段落の型】
まず全体像です。小論文は次の4つの部分でできています。
| 段落 | 書く内容 | 字数の目安(800字) |
|---|---|---|
| ①主張 | 問いに対する自分の答えを述べる | 50〜80字 |
| ②譲歩 | 反対意見をいったん認める | 150〜200字 |
| ③理由 | 主張の根拠を2〜3つ挙げる | 400〜500字 |
| ④結論 | 主張をもう一度述べる | 50〜80字 |
大切なのは、最初と最後で同じことを言うことです。途中で立場が変わると、何を主張したいのか伝わりません。

小論文の例文【600字・賛成の立場】
設問:小学校へのスマートフォンの持ち込みについて、あなたの考えを600字以内で述べなさい。
私は、小学校へのスマートフォンの持ち込みを、条件つきで認めるべきだと考える。
たしかに、反対の意見にも理由がある。授業中に操作して集中を妨げる、児童間で無断撮影などのトラブルが起きる、といった懸念は現実のものである。実際、持ち込みを禁止している自治体は今も多い。
しかし、これらは使い方のルールを定めることで対処できる問題である。登校後は電源を切って担任が預かり、下校時に返却する。休み時間も使用を認めない。こうした運用にすれば、授業への影響はほとんどなくなる。問題は機器そのものではなく、使い方の取り決めがないことにある。
そのうえで、持ち込みを認める利点は大きい。第一に、登下校時の安全が確保される。共働き家庭が増え、下校後に一人で過ごす児童は少なくない。位置情報を共有できれば、保護者は子どもの所在を把握でき、不審者への対応も早くなる。
第二に、災害時の連絡手段になる。地震や大雨で交通機関が止まったとき、学校と家庭が直接連絡を取れるかどうかは、児童の安全を大きく左右する。東日本大震災の際、連絡がつかず不安な時間を過ごした家庭は多かった。
なお、機器を持たない児童との間に差が生まれるという指摘もある。だが、これは学校が貸出用の端末を用意するなどの方法で緩和できる。持たせないことで差をなくすより、持てない子を支えるほうが建設的である。
以上のことから、私は使用のルールを明確に定めたうえで、小学校へのスマートフォンの持ち込みを認めるべきだと考える。
この例文の構造
| 段落 | 役割 | 書き出しの言葉 |
|---|---|---|
| 1 | 主張 | 私は〜と考える |
| 2 | 譲歩(反対意見を認める) | たしかに〜 |
| 3 | 反論 | しかし〜 |
| 4 | 理由1 | 第一に〜 |
| 5 | 理由2 | 第二に〜 |
| 6 | 予想される批判への対応 | なお〜 |
| 7 | 結論 | 以上のことから〜 |
小論文の例文【800字・慎重な立場】
設問:週休三日制の導入について、あなたの考えを800字以内で述べなさい。
近年、多くの企業や自治体が週休三日制の導入を検討している。私は、この制度を社会全体に広げることには慎重であるべきだと考える。
週休三日制の利点は明らかである。休日が増えれば、労働者は心身を休める時間を確保できる。育児や介護を担う人にとっては、仕事との両立がしやすくなる。実際に導入した企業では、離職率が下がったという報告もある。
しかし、こうした利点がすべての職種に当てはまるわけではない。ここに、この制度の最大の問題がある。
第一に、業種による格差が生じる。事務職のように成果を時間で区切りやすい仕事であれば、勤務日を減らしても業務量を調整できる。だが、医療・介護・保育・運輸といった、人がその場にいなければ成り立たない仕事では、休日を増やせばそのぶん人員が必要になる。人手不足が深刻なこれらの分野で、追加の人員を確保するのは容易ではない。
第二に、労働時間が減らないまま休日だけが増える恐れがある。週の総労働時間を変えずに週休三日にすれば、一日あたりの勤務は十時間近くになる。これでは、平日の疲労はかえって増す。休みが増えても、その休みが回復のためだけに費やされるのであれば、生活の質は向上しない。
第三に、賃金の問題がある。勤務日を減らして賃金も減らすなら、生活が苦しくなる人が出る。減らさないなら、企業の負担が増え、体力のない中小企業では導入が難しい。結果として、大企業に勤める人だけが恩恵を受けることになりかねない。
もちろん、私は週休三日制そのものに反対しているのではない。導入できる企業が先行して取り組むことには意味がある。問題は、これを一律の制度として社会全体に広げようとすることである。
以上のことから、私は週休三日制を全面的に導入するのではなく、職種や企業の実情に応じて選べる形で進めるべきだと考える。制度の目的は休日を増やすことではなく、働く人の生活を良くすることにあるからである。
この例文で使った工夫
| 工夫 | 該当箇所 | 効果 |
|---|---|---|
| 利点を先に認める | 第2段落 | 反対意見を理解していると示せる |
| 理由を3つに分ける | 第4〜6段落 | 字数が埋まり、説得力が増す |
| 全否定を避ける | 第7段落 | 「反対ではない」と明示し、極端さを回避 |
| 目的に立ち返る | 最終段落 | 単なる反対でなく、代案を示せる |
小論文の書き出し
書き出しで迷って時間を使う人が多いので、そのまま使える形を示します。
| 型 | 書き出しの例 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 直接主張 | 私は〜すべきだと考える。 | 賛否を問われたとき(最も安全) |
| 条件つき主張 | 私は、条件つきで〜を認めるべきだと考える。 | 単純な賛否では答えにくいとき |
| 問題の確認 | 近年、〜が問題となっている。私は〜と考える。 | 課題文がある、テーマが広いとき |
| 定義から入る | 〜とは、〜のことである。この点について私は〜。 | 言葉の意味が論点になるとき |
迷ったら「私は〜と考える」で始めてください。最初の一文で立場を示すのが、最も減点されない書き方です。
やってはいけない書き出し
| 避ける書き出し | 理由 |
|---|---|
| 私はこのテーマについて考えてみた。 | 立場が示されていない |
| 難しい問題だと思う。 | 感想であって主張ではない |
| まず、〜について説明する。 | 説明文になり、論じていない |
| 皆さんはどう思いますか。 | 問いかけは不要。自分の答えを書く |
字数別の書き分け方
| 字数 | 段落数 | 理由の数 | 構成 |
|---|---|---|---|
| 400字 | 3〜4 | 1〜2 | 主張→理由→結論 |
| 600字 | 4〜6 | 2 | 主張→譲歩→理由2つ→結論 |
| 800字 | 5〜8 | 3 | 主張→譲歩→理由3つ→結論 |
| 1200字 | 7〜10 | 3+具体例 | 主張→譲歩→理由3つ(各に具体例)→反論への対応→結論 |
字数が足りないとき
次の順に足してください。上から順に、加えても文章が崩れにくいものです。
| 順 | 足すもの | 増える字数の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 理由をもう1つ加える | 150〜200字 |
| 2 | 各理由に具体例を足す | 各50〜100字 |
| 3 | 反対意見への対応を加える | 100〜150字 |
| 4 | 結論に「なぜそう考えるか」を一文足す | 30〜50字 |
同じことを言い換えて水増しするのは逆効果です。採点者にはすぐ分かり、内容が薄いと判断されます。

減点されやすい書き方
感想を書いてしまう
小論文と作文の最大の違いは、根拠があるかどうかです。
| 作文(減点) | 小論文(正しい) |
|---|---|
| 私は〜だと思う。なぜなら好きだからだ。 | 私は〜だと考える。なぜなら〜という理由があるからだ。 |
| とても大切なことだと感じた。 | 〜という点で重要である。 |
| かわいそうだと思う。 | 〜の負担が大きくなるという問題がある。 |
「思う」ではなく「考える」を使ってください。感情ではなく判断だと示せます。
話し言葉を使う
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| でも/だけど | しかし/だが |
| だから | したがって/そのため |
| すごく/とても | 非常に/きわめて |
| ちゃんと | 適切に/十分に |
| いろんな | さまざまな |
| 〜みたいな | 〜のような |
| やっぱり | やはり |
「です・ます」と「だ・である」を混ぜる
小論文は「だ・である」で統一してください。途中で「です・ます」が混じると、それだけで減点されます。
書き終えたら、文末だけを目で追って確認する習慣をつけると、この種のミスがなくなります。
設問に答えていない
最も重い減点がこれです。「賛成か反対かを述べよ」と問われているのに、問題の説明だけで終わる答案が少なくありません。
書き終えたら、設問をもう一度読んで、問われたことに答えているかを確認してください。
時間配分
| 手順 | 60分の場合 | やること |
|---|---|---|
| 設問の確認 | 3分 | 何を問われているか、字数と条件を確認 |
| 構成メモ | 10分 | 主張と理由を箇条書きにする |
| 執筆 | 40分 | メモに沿って書く |
| 見直し | 7分 | 誤字・文末・設問への対応を確認 |
構成メモを書かずに始めないでください。途中で話が変わり、書き直す時間がなくなります。
メモは「主張/理由1/理由2/理由3」と縦に並べ、それぞれ一行で書くだけで十分です。これがあるだけで、書く速度が大きく変わります。
よくある質問
自分の体験は書いてもいいですか
具体例としてなら有効です。ただし体験だけで終わらせないでください。
「私はこう感じた」で止めると作文になります。「この経験から〜が言える」と、一般化する一文を必ず加えてください。
数字やデータは必要ですか
あれば説得力が増しますが、不確かな数字を書くくらいなら書かないほうがよいです。
「〜という報告もある」「〜と言われている」といった書き方であれば、正確な数値を覚えていなくても使えます。
賛成と反対、どちらを選ぶべきですか
点数に差はありません。理由を書きやすいほうを選んでください。
自分の本心と違っても構いません。小論文で問われるのは思想ではなく、筋道立てて説明する力です。
どのくらい練習すれば書けるようになりますか
型を覚えてしまえば、5本ほど書けば形になります。大切なのは書いた後に見直すことです。
書きっぱなしでは上達しません。学校の先生に見てもらうか、自分で読み返して、設問に答えているか・文末が統一されているかを確認してください。





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