小論文で最も多く出題されるのが課題文型です。文章を読み、要約と自分の意見を書く形式です。
この形式でつまずく原因は時間配分にあります。読むのに時間をかけすぎて、書き終わらないという失敗が最も多く見られます。
この記事では解く手順・時間配分・要約の型を示します。実際の答案例も載せているので、具体的な書き方を確認してください。
主な勉強場所はどこ?
課題文型で問われていること
出題のねらいは2つあります。
| 問い | 確認していること |
|---|---|
| 正確に読めるか | 筆者の主張をつかめるか |
| 自分の考えを述べられるか | 読んだ内容をふまえて論じられるか |
設問のパターン
| 形式 | 設問の例 |
|---|---|
| 要約のみ | 本文を200字で要約しなさい |
| 意見のみ | 本文をふまえ、あなたの考えを600字で述べよ |
| 要約+意見 | 要約200字、意見600字 |
最も多いのは3つ目です。要約と意見が別々に問われる形式になります。
ただし「意見のみ」の場合でも、冒頭で本文の主張に触れるのが原則です。読んだことを示さないと、課題文を無視した答案に見えます。
解く手順【5ステップ】

| 順 | やること | 時間の目安(60分) |
|---|---|---|
| 1 | 設問を先に読む | 2分 |
| 2 | 課題文を読む | 10分 |
| 3 | 構成をメモする | 8分 |
| 4 | 書く | 35分 |
| 5 | 見直す | 5分 |
ステップ1:設問を先に読む
課題文より先に設問を読みます。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 何を書くよう求められているか | 読む目的が決まる |
| 字数 | 構成の規模が決まる |
| 要約があるか | 読み方が変わる |
ステップ2:課題文を読む
線を引きながら読んでください。
| 引く箇所 | 目印 |
|---|---|
| 筆者の主張 | 「べきだ」「必要だ」「〜と考える」 |
| 問題提起 | 「なぜ〜か」「〜だろうか」 |
| 対比 | 「しかし」「一方」「むしろ」 |
| 結論 | 「つまり」「このように」 |
最も重要なのは逆接のあとです。「しかし」の直後に筆者の言いたいことが来ることが多くあります。
読み終えたら、筆者の主張を一文でまとめて余白に書いてください。ここが要約と意見の土台になります。
ステップ3:構成をメモする
いきなり書き始めないでください。途中で論が迷子になります。
| メモする内容 | 例 |
|---|---|
| 自分の立場 | 賛成・反対・条件つき賛成 |
| 理由 | 2つ用意する |
| 具体例 | 理由それぞれに1つ |
| 反対意見への応答 | あれば1つ |
8分かけても構いません。ここが固まれば、書く作業は機械的に進みます。
ステップ4:書く
メモに従って書きます。この段階で構成を変えないでください。
ステップ5:見直す
| 確認すること |
|---|
| 設問に答えているか |
| 字数が9割以上あるか |
| 文体が統一されているか |
| 誤字脱字がないか |
内容の修正は諦めてください。5分では書き直せません。形式の確認に絞ります。
要約の書き方
要約は自分の意見を入れないのが原則です。本文に書かれていることだけをまとめます。

要約に入れる3要素
| 要素 | 内容 | 字数の配分 |
|---|---|---|
| 問題提起 | 筆者が何を問題にしているか | 2割 |
| 根拠 | なぜそう言えるのか | 4割 |
| 主張 | 筆者は何を言いたいのか | 4割 |
主張を最も厚く書いてください。要約で最も重要な部分です。
要約から削るもの
| 削るもの | 理由 |
|---|---|
| 具体例 | 主張を支える補助にすぎない |
| 引用 | 同上 |
| 繰り返しの表現 | 同じ内容は一度でよい |
| 比喩 | 要点だけ残す |
| 自分の意見 | 要約には不要 |
具体例を残すと字数が足りなくなります。「たとえば」以降は原則として削ってください。
要約の書き方の手順
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 各段落の要点を一文で書き出す |
| 2 | 重要度の低い段落を削る |
| 3 | 残した文をつなぐ |
| 4 | 字数に合わせて調整する |
本文の言葉をそのまま使って構いません。要約では言い換える必要はありません。
意見の書き方【4部構成】

| 部 | 内容 | 字数の目安(600字) |
|---|---|---|
| ① 本文の確認 | 筆者の主張を一文で | 50〜80字 |
| ② 自分の立場 | 賛成・反対を明示 | 50〜80字 |
| ③ 理由と具体例 | 理由を2つ | 350〜400字 |
| ④ まとめ | 立場を再確認 | 80〜100字 |
立場は3つから選ぶ
| 立場 | 書きやすさ | 注意点 |
|---|---|---|
| 賛成 | 書きやすい | 本文の繰り返しになりやすい |
| 反対 | 目立つ | 根拠が弱いと崩れる |
| 条件つき賛成 | 最も無難 | 曖昧にならないよう注意 |
「条件つき賛成」が扱いやすい立場です。「基本的には賛成だが、〜という点では課題が残る」という形になります。
ただしどっちつかずにならないことが条件です。最終的にどちらに立つかは明示してください。
答案例【要約200字+意見600字】
次のような課題文が出たと想定します。
(課題文の要旨)
近年、公共の場から公衆電話やベンチが減少している。管理の手間やコスト、特定の利用者による占有を防ぐことが理由とされる。しかし、こうした設備の撤去は、行き場のない人や体力の弱い人から居場所を奪う。効率を優先して都市から余白を取り除くことは、結果として社会の許容力を狭めることにつながるのではないか。
要約(200字)
公共の場から公衆電話やベンチが減少している。管理の負担や特定の利用者による占有を防ぐことが理由である。しかし筆者は、こうした設備の撤去が、行き場のない人や体力の弱い人の居場所を奪うと指摘する。効率を優先して都市から余白を取り除くことは、社会が多様な人を受け入れる力を弱めることにつながる。設備の撤去は目先の負担を減らすが、都市のあり方を損なう。筆者は、公共空間の効率化が社会の許容力を狭める危険を問題としている。
| この要約の特徴 |
|---|
| 問題提起・根拠・主張の順に並んでいる |
| 具体例を削り、要点だけを残している |
| 自分の意見を入れていない |
| 「筆者は」と主語を明示している |
意見(600字)
筆者は、公共空間から設備が撤去されることが、社会の許容力を狭めると論じている。私はこの主張に基本的に賛成する。ただし、管理する側の負担をどう解決するかという課題は残ると考える。
賛成する理由は二つある。第一に、公共空間は本来、誰かを排除しない場として設けられたものだからである。駅前のベンチは、電車を待つ人だけのものではない。荷物の重い人、足の悪い人、待ち合わせの人が等しく使える。設備を減らせば、体力のある人だけが快適に過ごせる空間になる。効率を理由に一部の人を締め出すのは、公共という言葉と矛盾している。
第二に、余白のない都市は、想定外の事態に弱いからである。私の住む地域では、災害時に高齢者が屋外で長時間待つ場面があった。座れる場所がなく、体調を崩した人もいたと聞いている。日常では無駄に見える設備が、非常時には必要になる。効率だけで判断すると、こうした余地が失われる。
一方で、管理の負担が現実の問題であることも確かである。落書きや破損への対応には費用がかかる。撤去という判断が、限られた予算の中で選ばれている面は否定できない。だからこそ、撤去か維持かという二択ではなく、地域が管理に関わる仕組みを考える必要がある。清掃を住民が担う公園の例もある。
公共空間の意味は、誰を受け入れるかによって決まる。効率を追う前に、誰を排除しているかを問うべきだと考える。
この答案のどこが評価されるか
| 箇所 | 評価される点 |
|---|---|
| 冒頭で筆者の主張を確認 | 課題文を読んだことが伝わる |
| 「基本的に賛成」と立場を明示 | どっちつかずではない |
| 理由が2つある | 論が厚くなる |
| 「公共」の定義に踏み込んだ | 本文の言い換えで終わっていない |
| 自分の地域の経験を出した | 具体性がある |
| 反対側の事情にも触れた | 一方的でない |
| 最後に問いの形で締めた | 印象が残る |
よくある失敗
失敗1:要約に自分の意見を入れる
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 筆者は設備の撤去を批判しているが、管理の負担も考えるべきだ。 | 筆者は、設備の撤去が多様な人の居場所を奪うと指摘する。 |
要約は本文の内容だけです。意見は別の設問で書いてください。
失敗2:課題文に触れずに書き始める
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 私は公共空間が大切だと考える。 | 筆者は、公共空間から設備が撤去されることが社会の許容力を狭めると論じている。私はこの主張に賛成する。 |
課題文型では、本文への言及が必須です。触れずに書くと、文章を読まなくても書ける答案になってしまいます。
失敗3:本文の言い換えで終わる
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 筆者の言うとおり、効率を優先すべきではない。公共空間は大切である。 | 公共空間は本来、誰かを排除しない場として設けられたものである。設備を減らせば、体力のある人だけが快適に過ごせる空間になる。 |
賛成する場合こそ、本文にない内容を足してください。同意するだけでは、自分の考えを述べたことになりません。
| 足せるもの |
|---|
| 本文にない具体例(自分の経験・見聞きしたこと) |
| 別の角度からの理由 |
| 反対側の事情への応答 |
| 用語の定義に踏み込む |
失敗4:立場が途中で変わる
| 直す前 | 直したあと |
|---|---|
| 賛成である。しかし反対の面もある。やはり難しい問題だ。 | 基本的に賛成する。ただし、管理の負担をどう解決するかという課題は残る。 |
迷いを書かないでください。条件つきで賛成するなら、最初にそう宣言します。
失敗5:具体例がない
理由だけでは説得力が出ません。
| 使える具体例 |
|---|
| 自分の経験・身近な出来事 |
| 地域で見聞きしたこと |
| 報道で知った事例 |
| 学校で学んだ内容 |
統計の数字は覚えていなくて構いません。正確でない数字を書くほうが危険です。
失敗6:時間が足りず書き切れない
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 読むのに時間をかけすぎた | 設問を先に読む |
| 構成を考えずに書き始めた | メモに8分使う |
| 途中で方針を変えた | 書き始めたら変えない |
未完成の答案は大きく減点されます。内容が多少弱くても、最後まで書き切ってください。
時間配分の練習法
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1回目 | 時間を計らず、じっくり書く |
| 2回目 | 90分で書く |
| 3回目 | 本番と同じ時間で書く |
いきなり本番の時間で練習しないでください。書けないまま終わり、力がつきません。
週1本のペースで、5本目までに本番の時間に近づけるのが現実的です。
よくある質問
要約が字数に収まりません
具体例を削ってください。
「たとえば」以降は原則として不要です。それでも収まらない場合は、段落ごとの重要度を見直してください。
| 残す | 削る |
|---|---|
| 問題提起・根拠・主張 | 具体例・引用・比喩 |
賛成と反対のどちらを選ぶべきですか
書きやすいほうで構いません。立場そのものは採点されません。
ただし理由を2つ用意できるかを基準にしてください。1つしか思いつかない立場を選ぶと、途中で行き詰まります。
迷う場合は「条件つき賛成」が扱いやすい立場です。
本文が難しくて理解できません
全部を理解する必要はありません。
| 最低限つかむこと |
|---|
| 筆者が何を問題にしているか |
| 筆者は何を主張しているか |
この2つが分かれば書けます。細部が分からなくても、逆接のあとと最終段落を丁寧に読めば主張はつかめます。
知識がなくて具体例が書けません
自分の経験で構いません。
専門的な知識や統計は必要ありません。高校生として見聞きした範囲で十分です。
むしろ曖昧な知識で書くと、事実誤認で減点される危険があります。
「あなたの考えを述べよ」とは何を書くのですか
筆者の主張に対する立場と、その理由です。
| 書くこと | 書かないこと |
|---|---|
| 賛成・反対とその理由 | 感想(面白かった・難しかった) |
| 本文にない具体例 | 本文の要約だけ |
| 反対側への応答 | どちらとも言えないという結論 |
字数はどのくらい書くべきですか
| 指定 | 目標 |
|---|---|
| 600字以内 | 540字以上 |
| 800字以内 | 720字以上 |
| 600字程度 | 540〜660字 |
「以内」なら9割以上が目安です。
他の形式の小論文とどう違いますか
| 形式 | 特徴 | 対策 |
|---|---|---|
| 課題文型 | 文章を読んで書く | 読解と要約の練習 |
| テーマ型 | 題だけが与えられる | 背景知識の蓄積 |
| データ型 | グラフや表を読む | 数値の読み取り |
課題文型は知識が少なくても書ける形式です。本文に材料があるためです。
一方、テーマ型は自分で材料を用意する必要があります。志望学部の頻出テーマを調べておいてください。
次にやること
まず志望校の過去問で形式を確認してください。課題文型が出るのか、テーマ型なのかで対策が変わります。
課題文型なら、週1本のペースで書くことを始めてください。読むだけでは力がつきません。
書き方の型やテンプレートをまとめた記事、字数別の書き方をまとめた記事もあります。あわせて確認してください。
総合型選抜を受ける場合は、志望理由書の準備も並行して進める必要があります。こちらは事前に時間をかけられる書類なので、早く始めるほど有利です。








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