- 要約の正しいやり方
- 要約の重要性・要約で得られるもの
- 要約するときの大原則
- 要約をするための具体的な手順・勉強法
- 要約でしてはいけないこと
国語を得意にするためには本文の文章を短くまとめる「要約力」が重要なカギになることは言うまでもありません。
これは、中学入試のみならず高校入試・大学入試でも同じことが言えます。
近年では、公立中学入試をはじめとしていくつかの学校で要約問題が出題されていることが増えてきているようにも思えます。
しかし、本文を要約するにしてもそのコツを理解しておかないと上手に書くことは難しいでしょう。
文章が長すぎてどこが大事な所なのか読み取れない…。
要約って何から書けばいいのかよくわからない…。
試験で要約問題は出てこないけど、子どもに要約が出来るようになってほしい!
そこで、今回は中学・高校受験段階で最低限必要な要約を行うコツと対策について詳しくご紹介します。
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要約とは
要約とは、本文に書かれている文章をさらに重要なところだけを抜き出して短く(自分の)文章でまとめることをいいます。
要約とは大きく分けて、3種類あります。
大意と、要旨と主旨の3つです。言葉自体はそこまで大事ではないので簡潔にそれぞれの違いを説明します。
要約の種類
- 大意 各段落の内容をそれぞれ短文で短くまとめたもの(試験に出ない)
- 要旨 大意でまとめたものの中でもさらに重要なところを短くまとめたもの(試験に出題)
- 主旨 要旨でまとめたものの中でも特に筆者の主張部分を抽出して短くまとめるもの(試験に出ない)
大意・要旨・主旨の中で最も重要なものは?
大意や主旨も要約の作業を行っていく上で重要になりますが、この中で最も難易度が高いものが要旨です。また、要旨は実際に公立中学入試を中心として出題されていることが増えてきています。
今回は、この中でも特に試験でも出題される要旨にフォーカスを充てて説明していきます。(要約という言葉は主に要旨のことをいっていると考えてください。)
要約が大事な理由
そもそも、なぜ中学段階で文章を自分の言葉で要約をすることが大事であると言われ続けているのでしょうか。
それは、要約力を身につけることで以下の能力をを大きく伸ばすことが出来るからです。
要約で得られるスキル
- 速読力
- 読解力・思考力
- 分析力・判断力
- 記述力・作文力
速読力
要約力が身に付いたら、文章の中で大事な部分とそうではない部分の違いが分かるようになります。
そのため、大事ではない部分は流し読みをして、その代わりに重要な部分にフォーカスを充てた読解をすることが出来るようになります。
速読力は何も文字を早読みするという小手先の技術で得られるものではなく、文章の中で大事な部分とそうではない部分の区別をいかに適切に行うかを行う作業時間にかかっていると考えております。
読解力・思考力
読解力とは、その名の通り「文章を読んでその内容を正しく理解する」力のことです。現代では、子供の読書量がこれまでより減っていることから、読解力の著しい低下が問題視されています。
しかし、読解力を身につけることは、これからAIが仕事を取って代わる時代になったとしても必ず求められる重要な事なのです。
読解力を子供のころからつけておくのとそうではないのとでは、その後の将来の選択肢を大きく変えるものとなるでしょう。
そこで、要約をすることで、文章を正しく読む習慣をつけることができ、延いては読解力のみならず自ずから物事を考えようとする思考力を伸ばすことにつながります。
本を読むことが苦手な人は、まずは学校で扱っている文章から要約を行うことから進めることもよいでしょう。国語に特化した通信教育を使って勉強することもおすすめです。
分析力・判断力
分析力や判断力とは、物事を正しく理解するための思考で、例えば目の前にある物事に対して自分の頭で考えてなぜそうなるのかといった原因や理由を調べる力のことをいいます。
分析力を高めることで自分自身の考えを持つことが出来るようになるため将来に役立つ主体性を向上させることが出来ます。
要約を行うことは自分なりに何を書けばよいのか考える作業なので、このような分析力や判断力を大いに向上させることができます。
記述力・作文力
最後に要約によって得られるものは記述力・作文力です。
学校や受験の問題の形式ではほとんどが記号か記述形式ですが、要約をすることは何を書くべきか書かないべきかの取捨選択の判断能力を鍛えることが出来るため、どんなに難しい問題でもある程度書くべきことが自然と理解できるようになり、苦手だった記述問題の克服にもつなげることができるでしょう。
そして、さらに記述や要約より多い作文問題でも要約で養われた力は発揮できます。
ただ、作文の対策は少し特殊なものですので要約が出来てもうまく書けないという人もいると思います。そこで、作文で悩んでいる人のために作文の書き方や対策法について具体的に記事にしてまとめました。
作文で悩んでいる人は以下の記事をご参照ください。
要約で書くべきこと
次に、要約の中に必ず書くべきこととは何か、どのようにまとめていくのかご紹介します。
テーマ⇒テーマの根拠・理由⇒結論の順に書く
要約で必ず書かなくてはならないものとは、文章の中で重要な箇所ですが、具体的には以下の3つを残して書くとよいでしょう。(今回は、説明文や評論文を要約することを想定しています。)
- 文章の中で筆者が最も伝えたいこと=テーマ(問題提起)
- 筆者がなぜテーマを主張しているのか、その理由・根拠
- 結論(~すべきだ)
これらを順番に要約の中に書いていけばよいのですが、それぞれ具体的に書くべき内容について説明します。
1 文章の中で筆者が最も伝えたいこと=テーマ
まずは、説明文の場合は文章の中で筆者の最も主張したいことを探しましょう。
そもそも本に書かれている文章(説明文等)とは筆者が読者に対して何らかのメッセージを伝えるための手段なのです。したがって、文章の中には筆者の主張、最も伝えたいことが書かれていることが多いのでその部分を見つけるように心がけましょう。
- 同じことを何度も繰り返している言葉
- 文末表現が「~と考えている。」「~と思う。」「~であるべきだ。」等
- 一般論とは異なる意見文(問題提起) 逆説「しかし~」等の後に書いていることが多い
- 形式段落でいう第1段落、最終段落
- 強調表現が書かれているところ(特に、とても、かなり…等)
2 筆者の主張するテーマの理由・根拠
筆者の主張しているところが見つかったら、次はその主張していることの根拠・理由を探しましょう。
文章を書く際に主張だけ書いていてそれを根拠づける理由付けがなかったら読者はその主張に納得がいくことはないと思います。
主張とはその理由があるからこそ説得力のあるものにすることができるので、同じく要約においても主張を支える理由を文章中から見つけて書きましょう。
- 主張が書かれている部分の近く
- 特に、理由を表す接続詞(なぜなら、というのも…等)の一文に書かれていることが多い
- 具体例が書かれている直前の段落
3 結論(~すべきだ。)
最後に筆者が考える問題提起に対する結論を書きましょう。
これは、基本的には最初で書いた筆者が考える現状の問題点(テーマ)に対する解決策やどうすればよいかといった今後の展望について書かれているところを書き抜けばよいです。
- 最初の段落
- 最後の段落
- まとめを表す接続詞(このように、こうして…等)の近く
要約でしてはいけないこと・要約の原則
逆に、要約の中で書いてはいけないこともあります。この点にも気を付けて書くことが要約の質を向上させるために大切な事です。
同じ内容を何度も書かない
既に主張として書いたことを再度書くことは出来るだけ控えるように心がけましょう。というのも、要約とは短い文章で読み手にわかるよう簡潔に書くものですので、同じことを書いていては他の重要な部分が書けなくなっています。
もし同じ言葉をどうしても使いたい場合は、別の言葉に書き換えましょう。
具体例を多く書かない
文章中の具体例とは、筆者が主張するテーマを理由とあわせてさらに説得力のあるものにするための材料でしかないのです。
具体例は文章中に多く書かれていますが、このような具体例はあえて多く書こうとしないことも大切です。
自分の意見を書かない
同じく、要約は文章中の内容を短くまとめる文ですので個人的な意見を入れることは厳禁です。
あくまで、文章に書かれていることからそのまま書くようにしましょう。
要約力をつけるための勉強法・対策
ここまで要約の書き方を説明しましたが、この書き方を知っても急に要約が書けるようになるほど簡単なものではありません。
勉強は地道な努力を行うことで少しずつ学力が向上していくものですので、一つ一つステップを踏んでいく必要があるのです。
そこで、国語が苦手な人と得意な人のために要約力をつけるための具体的な方法をステップごとに沿ってそれぞれご紹介します。
必ず、以下の手順に沿って進めてみましょう。
国語が苦手な人が進める順序
国語が苦手な人は、いきなり文章全体の要約を行おうとしてもなかなかハードルが高いと思います。そこで、以下の順序に従って勉強を進めることをおすすめします。
まずは、形式段落ごとに筆者が最も主張したいことや重要な所がどこであるのかを把握するようにしましょう。
具体例は筆者の主張をさらに説得力を持たせるために使われる表現なので、具体例は要約の中に書かないこと!
次に、もう少し大きなくくり(意味段落)で要約をしてみましょう。もし形式段落でコツがわかったらこの段階は飛ばしてよいです。
ここで、ようやく文章全体の要約をしてほしいのですが、いきなり完璧な答案を目指そうとするのではなく、徐々に精度を上げていこうという心意気で学習に取り組んでいただけた方が先々継続できると思います。目安としては、1週間に2問程度読んだ文章を要約してみるという作業を行うことをおすすめします。
国語が得意な人が進める順序
国語が得意な人(目安:偏差値60程度)の人は、いきなり要約の作業を行って慣れていくのもよいでしょう。
この段階でうまくコツをつかめなかった人は、形式段落別の要約を行ってから始めるのもよいです。
もし、要約が得意になったらさらに難易度を上げて筆者の主張する意見に対して自分が賛成か反対かを述べる意見文を書いてみることをおすすめします。詳しい作文の勉強法は以下の記事にてご参照ください。
書いた要約は必ず添削をしてもらおう
どんなに要約が自分なりによく書けたという自信があったとしても、他の人から見たら必ずしも良い答案であるとは限りません。
そこで、自分が書いた答案が客観的にどれくらいできているか判断するためにも親しい塾の国語の先生に添削をしてもらいましょう。
まとめ
最後に今回の記事で大事なことをまとめます。ここまでお読みいただきありがとうございます。
- 要約で大事なことは筆者の最も主張したいことを見つけること!
- 要約はテーマ⇒テーマの根拠・理由の順番で書く
- 具体例は多く書きすぎないこと
- 国語を一気に得意にするなら要約一択!
- 必ず要約を書いたら先生に添削をしてもらうこと
- 要約はあくまで文章から書いていくこと!自分の意見は書かない!
- 要約が書けるようになったら作文問題にも挑戦!
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