漢文の知識は、英単語や古文単語のように何千語も覚える必要はありません。
だからこそ漢文は、最短で点になる科目です。逆に、句形をあいまいにしたまま問題を解いても、いつまでも「なんとなく」でしか読めません。
この記事では、入試での出題頻度をもとに全句形を Aランク(標準・最頻出)/Bランク(基本・頻出)/Cランク(応用) の3段階に分けて整理しました。
読み方・意味・例文をすべて載せてあるので、この1ページで漢文句形のインプットは完結するようにしております。

覚えたら、そのまま演習しましょう!
この記事の句形はすべて漢文句形テスト100問で問題化しています!
読んで終わりにせず、必ず解いて確認しましょう。
アウトプット・演習をしたい方はこちらの記事でできます!こちらからどうぞ!


主な勉強場所はどこ?




頻出ランクの目安について


受験生が何を覚えればよいかという一つの目安、指標として頻出度順にランクを分けております。
このランクは、入試の各学校の過去問や模試などを参考に作成しております。
Aランク~Cランクまで三段階に分けております。Aランクから順に難易度が上がっております(Aランクが最も頻出度が高い)ので、まずはAランクから順に解いていくことをおすすめします。
Aランク(標準レベル)⇒受験生であれば必ず覚えておきたい超頻出問題、多くの人が解ける典型問題
Bランク(中級レベル)⇒他の受験生と差をつけたい人が覚えておきたい頻出問題、Aランクが簡単に覚えられる人はここまで覚えましょう。
Cランク(上級レベル)⇒上位の受験校を狙っている人が覚えておきたい問題、頻出ではないので、余裕、余力がある人はここまでおさえるとよいでしょう。
※免責事項:頻出ランクは、受験において頻出の問題を主観的な判断で分けているものであり、必ずしも個々の志望校に出ることを保証・約束しているものではございません。ご了承くださいませ。
この記事の使い方


- まずAランク57個だけを覚えましょう。 ここだけで共通テストの句形問題の8割はカバーできます。
- 各表の「読み」を 声に出して 覚えましょう。漢文の句形は音で覚えるとより早く定着できます。
- Aランクが入ったらBランク→Cランクへ進みましょう。
- 1分野終わるごとにテストツールで該当分野だけを出題して確認する
Aランク(標準・最頻出)57選


1. 再読文字(9)
1つの字を2回読む特殊な文字のことをいいます。 1度目は漢字の読み、2度目はひらがなで読むのがルールです。
| 字 | 読み | 意味 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 未 | いまだ〜(ず) | まだ〜ない | 未知生(いまだ生を知らず) |
| 将 | まさに〜(んとす) | 今にも〜しようとする | 将撃斉(まさに斉を撃たんとす) |
| 且 | まさに〜(んとす) | 今にも〜しようとする | 年且九十(年まさに九十ならんとす) |
| 当 | まさに〜(べし) | 当然〜すべきだ | 当自強(まさに自ら強むべし) |
| 応 | まさに〜(べし) | きっと〜だろう | 応知故郷事(まさに故郷の事を知るべし) |
| 宜 | よろしく〜(べし) | 〜するのがよい | 宜読書(よろしく書を読むべし) |
| 須 | すべからく〜(べし) | ぜひ〜する必要がある | 須惜少年時(すべからく少年の時を惜しむべし) |
| 猶(由) | なほ〜(ごとし) | ちょうど〜のようだ | 過猶不及(過ぎたるはなほ及ばざるがごとし) |
| 盍 | なんぞ〜(ざる) | どうして〜しないのか | 盍各言爾志(なんぞおのおの爾の志を言はざる) |
2. 否定の基本(5)
| 字 | 読み | 意味 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 不(弗) | 〜ず | 〜しない | 不来(来たらず) |
| 非(匪) | 〜にあらず | 〜ではない(体言を否定) | 非人(人にあらず) |
| 無(无) | 〜なし | 〜がない | 無他(他なし) |
| 勿(毋・莫・無) | 〜(する)なかれ | 〜するな(禁止) | 勿言(言ふなかれ) |
| 不可 | 〜べからず | 〜してはいけない | 不可食(食らふべからず) |
3. 部分否定と全部否定(8)
漢文でもっとも差がつくところです。 副詞と否定辞の上下の順序だけで意味が正反対になります。
| 形 | 読み | 意味 | 種類 |
|---|---|---|---|
| 不必 | かならずしも〜ず | 必ず〜とは限らない | 部分否定 |
| 必不 | かならず〜ず | 絶対に〜しない | 全部否定 |
| 不常 | つねには〜ず | いつも〜とは限らない | 部分否定 |
| 常不 | つねに〜ず | いつも〜しない | 全部否定 |
| 不倶 | ともには〜ず | 両方そろっては〜しない | 部分否定 |
| 倶不 | ともに〜ず | 両方とも〜しない | 全部否定 |
| 不復 | また〜ず | 二度とは〜ない | 部分否定 |
| 復不 | また〜ず | 今度もまた〜ない | 全部否定 |
覚え方:「否定辞が上なら部分否定」。
不+副詞=部分否定、副詞+不=全部否定。読みが同じ(不復も復不も「また〜ず」)なので、字の並びだけが手がかりになる。
4. 二重否定(8)
否定が2回重なると 強い肯定 になります。
| 形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 無不 | 〜ざるはなし | 〜しないものはない=みな〜する |
| 莫不 | 〜ざるはなし | 〜しないものはない |
| 無非 | 〜にあらざるはなし | 〜でないものはない |
| 非不 | 〜ざるにあらず | 〜しないわけではない |
| 不可不 | 〜ざるべからず | 〜しなければならない |
| 不得不 | 〜ざるをえず | 〜しないわけにはいかない |
| 未嘗不 | いまだかつて〜ずんばあらず | 今までに〜しなかったことはない |
| 不敢不 | あへて〜ずんばあらず | 〜しないではいられない |
5. 疑問(7)
| 語 | 読み | 問うもの | 例文 |
|---|---|---|---|
| 何 | なんぞ | 理由(どうして) | 何不去(なんぞ去らざる) |
| 何 | なにをか | 目的語(何を) | 何言(なにをか言ふ) |
| 誰(孰) | たれか | 人物(誰が) | 誰之過(たれの過ちぞ) |
| 安・悪・焉 | いづくにか | 場所(どこに) | 沛公安在(沛公いづくにかある) |
| 胡・奚 | なんぞ | 理由(どうして) | 胡不帰(なんぞ帰らざる) |
| 幾何 | いくばく | 数量(どれくらい) | 兵数幾何(兵の数いくばくぞ) |
| 何如 | いかん | 状態・評価(どうであるか) | 則何如(すなはちいかん) |
6. 反語(6)
疑問の形をとりながら、逆の結論を強く主張する表現です。文末が「〜んや」になるのが目印です。
| 形 | 読み | 訳 |
|---|---|---|
| 豈〜乎(哉・耶) | あに〜んや | どうして〜だろうか、いや〜ない |
| 安〜哉(乎) | いづくんぞ〜んや | どうして〜だろうか、いや〜ない |
| 寧〜乎 | いづくんぞ〜んや | どうして〜だろうか、いや〜ない |
| 独〜哉 | ひとり〜んや | どうして〜だろうか、いや〜ない |
| 何A之有 | なんのAかこれあらん | どうしてAがあるだろうか、いやない |
| 豈不〜哉 | あに〜ずや | なんと〜ではないか(詠嘆を含む反語) |
7. 使役(5)
| 形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 使AB | AヲシテB(せ)シム | AにBさせる |
| 令AB | AヲシテB(せ)シム | AにBさせる |
| 遣AB | AヲシテB(せ)シム | Aを派遣してBさせる |
| 教AB | AヲシテB(せ)シム | AにBさせる |
| 命・勧・説 など | (しむ)を補う | 文脈上の使役 |
8. 受身(4)
| 形 | 読み | 意味 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 見+動詞 | 〜(ら)る | 〜される | 見欺(欺かる) |
| 被+動詞 | 〜(ら)る | 〜される | 被殺(殺さる) |
| 為A所B | AのB(する)ところとなる | AにBされる | 為秦所滅(秦の滅ぼす所と為る) |
| 動詞+於A | Aに〜(ら)る | Aに〜される | 治於人(人に治めらる) |
9. 比較・最上級(5)
| 形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| A於(于・乎)B | AはBより〜 | AはBよりも〜だ(比較) |
| A不如B(不若B) | AはBにしかず | AはBに及ばない(Bのほうがよい) |
| 莫如A(莫若A) | Aにしくはなし | Aに及ぶものはない(Aが最上) |
| A孰与B | AとBといづれぞ | AとBではどちらが〜か |
| 莫〜於A | Aより〜なるはなし | Aよりも〜なものはない(最上) |



アウトプットは以下の記事で確認しましょう!




Bランク(基本・頻出)36選


Aランクに次いで出題率が高く、読解の土台になります。ここが抜けていると本文そのものが読めないこともありますので必ず確認しましょう。
10. 限定(4)
| 形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 唯(惟・但・只) | ただ〜 | ただ〜だけ |
| 〜耳(已・爾・而已・而已矣) | 〜のみ | 〜だけだ |
| 唯〜耳 | ただ〜のみ | ただ〜だけだ |
| 独〜 | ひとり〜のみ | ただ〜だけ |
つまずきポイント:文末の「のみ」を訳し落とすと減点される。「而已矣」は漢字3字でも読みは「のみ」の2文字。
11. 累加(3)
| 形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 不唯A、亦B | ただにAのみにあらず、またB | AだけでなくBもまた |
| 非独A、亦B | ひとりAのみにあらず、またB | AだけでなくBもまた |
| 非徒A、亦B | ただにAのみにあらず、またB | AだけでなくBもまた |
12. 仮定・条件(7)
| 字 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 若・如 | もし〜ば | もし〜ならば |
| 苟 | いやしくも〜ば | かりにも〜ならば |
| 使・令 | もし〜ば | もし〜ならば(文頭で非現実の仮定) |
| 縦 | たとひ〜とも | たとえ〜だとしても |
| 雖 | 〜といへども | 〜だとしても(逆接) |
| 即 | もし〜ば | もし〜ならば |
| 微 | 〜なかりせば | 〜がなかったならば |
つまずきポイント:「使」は使役と同じ字。文頭にあって非現実の状況を述べていれば仮定(例:使死者復生=もし死者が生き返ったならば)。
13. 願望(4)
| 字 | 読み | 意味 | 主体 |
|---|---|---|---|
| 願 | ねがはくは〜(ん) | どうか〜してください | 相手の行動 |
| 請 | こふ〜(ん) | どうか〜させてください | 自分の行動 |
| 欲 | 〜(せ)んとほっす | 〜したい | 自分の行動 |
| 庶幾 | こひねがはくは〜(ん) | どうか〜であってほしい | 願望全般 |
つまずきポイント:願=相手にしてほしい/請=自分にさせてほしい。どちらが動作の主体かで訳が変わる。
14. 詠嘆(4)
| 形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 嗚呼・嗟乎 | ああ | ああ(感嘆) |
| 〜哉・〜夫・〜矣 | 〜かな | 〜だなあ |
| 何其〜也(乎) | なんぞその〜や | なんと〜なことよ |
| 不亦〜乎 | また〜ずや | なんと〜ではないか |
つまずきポイント:「何其」を理由を問う疑問と勘違いして「どうして〜なのか」と訳すのが典型的なミス。定型句ごと覚える。
15. 置き字(5)
書き下し文では 読まないが、意味は必ずある字のことをいいます。
| 字 | 位置 | 働き | 送り仮名への反映 |
|---|---|---|---|
| 而 | 文中 | 順接・逆接・修飾 | 〜て/〜ども/〜にして |
| 於・于・乎 | 名詞の上 | 場所・対象・比較・受身 | 〜に/〜より/〜と |
| 焉 | 文末 | 断定・強調 | (読まない) |
| 矣 | 文末 | 断定・完了 | (読まない) |
| 也 | 文末 | 断定 | 〜なり(読む場合あり) |
つまずきポイント:置き字を訓読してしまう誤答が非常に多い。「学而時習之」は「学びて時に之を習ふ」であって、「学びしかうして」ではない。
16. 重要語・基本(5)
| 字 | 主な読み | 意味 |
|---|---|---|
| 以 | 〜をもって | 〜を用いて(手段)/〜のために(理由) |
| 為 | なす/ためニ/〜(ら)る | する・なる/〜のために/〜される |
| 与 | 〜と/あたふ/〜か | 〜と一緒に/与える/疑問の助字 |
| 所 | 〜(する)ところ | 〜すること・もの(名詞化) |
| 自・従 | 〜より | 〜から(起点) |
17. 疑問詞の読み分け(4)
語順で意味が変わる、まぎらわしい4組です。
| 形 | 読み | 問うもの |
|---|---|---|
| 何如 | いかん | 状態・評価(どうであるか) |
| 如何 | いかん | 手段・方法(どうしたらよいか) |
| 奈A何 | Aをいかんせん | Aをどうしようか |
| 何為 | なんすれぞ | 理由(どうして) |
つまずきポイント:「何如」と「如何」は読みが同じ「いかん」で、字の並びだけが違う。
何如=状態、如何=手段。



アウトプットは以下の記事で確認しましょう!




Cランク(応用)20選


18. 抑揚(3)
軽いものを先に挙げて抑え、重いものを後で持ち上げる構文です。
| 形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| A且〜、況B乎 | Aすら且つ〜、いはんやBをや | Aでさえ〜なのだから、ましてBはなおさらだ |
| 猶A、況B乎 | なほA、いはんやBをや | Aでさえ〜なのだから、ましてBはなおさらだ |
| 況〜乎 | いはんや〜をや | まして〜はなおさらだ |
19. 選択(3)
| 形 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 与其A、寧B | そのA(せん)よりは、むしろB | AするくらいならいっそBがよい |
| 与其A、孰若B | そのAよりは、いづれかBにしかん | AするくらいならBのほうがよい |
| 寧A、無B | むしろA(するとも)、B(する)なかれ | いっそAになっても、Bにはなるな |
20. 紛らわしい識別(5)
同じ字が複数の用法を持ちます。
| 字 | 用法A | 用法B | 見分け方 |
|---|---|---|---|
| 見 | 受身(〜らる) | 動詞(見る) | 直後が動詞なら受身 |
| 被 | 受身(〜らる) | 動詞(着る・かぶる) | 直後が動詞なら受身 |
| 為 | 受身(為A所B) | ためニ/なス | 「所」があれば受身 |
| 使 | 使役(〜しむ) | 仮定(もし〜ば) | 文頭で非現実なら仮定 |
| 与 | 前置詞(〜と) | 選択形(与其〜) | 「其」が続けば選択形 |
21. 重要語・応用(9)
| 語 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 所以 | ゆゑん | 理由・原因/手段・方法 |
| 是以 | ここをもって | だから・こういうわけで |
| 於是 | ここにおいて | そこで・そのとき |
| 雖然 | しかりといへども | そうではあるが |
| 然則 | しからばすなはち | それならば |
| 已而 | すでにして | まもなく・やがて |
| 嘗 | かつて | 以前に・かつて |
| 蓋 | けだし | 思うに・おそらく |
| 凡 | およそ | 総じて・一般に |



アウトプットは以下の記事で確認しましょう!




【補足1】返り点と書き下しのルール





句形を覚えても、返り点が読めなければ意味がないためここで補足します。ルールは4つだけです。
| 返り点 | 使う場面 | 例 |
|---|---|---|
| レ点 | 1字だけ上に返る | 不レ来(来たらず) |
| 一二(三)点 | 2字以上をまたいで返る | 読二漢文一(漢文を読む) |
| 上(中)下点 | 一二点をまたいでさらに返る | 有下読二漢文一者上(漢文を読む者有り) |
| 甲乙(丙)点 | 上下点をまたいでさらに返る | (長い使役・否定形など) |
書き下し文の3原則
- 実質語(名詞・動詞など)は漢字のまま残す
- 助詞・助動詞(不・可・也・矣・而已など)はひらがなにする
- 歴史的仮名遣いを用いる(「思う」ではなく「思ふ」)
再読文字の2度目は必ずひらがな。同じ漢字を2回書いてはいけない。
【補足2】漢詩の形式
| 形式 | 句数 | 1句の字数 | 押韻 | 対句 |
|---|---|---|---|---|
| 五言絶句 | 4 | 5 | 第2・4句 | 義務なし |
| 七言絶句 | 4 | 7 | 第1・2・4句 | 義務なし |
| 五言律詩 | 8 | 5 | 第2・4・6・8句 | 頷聯・頸聯 |
| 七言律詩 | 8 | 7 | 第1・2・4・6・8句 | 頷聯・頸聯 |
押韻は原則として偶数句末。七言はこれに加えて第1句末でも韻を踏む。 律詩は8句を2句ずつ、首聯(1・2)/頷聯(3・4)/頸聯(5・6)/尾聯(7・8)と呼び、中間の頷聯と頸聯は対句にする決まりがある。
覚えた後は、アウトプットで完成


句形は「見て覚えた」で終わると、試験本番で必ず取り違えます。読める状態と、選べる状態は別物だからです。



当サイトでは、この記事の113句形をそのまま問題化した無料の演習ツールを公開しています。ランク別・分野別に絞って出題でき、間違えた問題だけをもう一度解き直せます!


よくある質問
まとめ


- まずは Aランク57個。ここだけで共通テストの句形問題の8割をカバーしましょう。
- 部分否定・二重否定・疑問と反語の識別 が最頻出。ここで差がつきます。
- 読みを 声に出して より効率的に覚えていきましょう。
- 覚えたら必ず 問題を解いて 確認しましょう。



漢文は、努力が最も素直に点数に変わる科目です。この113個を仕上げて、得点源にしましょう!





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